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  スポーツNOW(12月10日付)
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中田大輔

トランポリン第一人者・中田大輔が日本の“問題点”を告白

 日本トランポリン界が大きく揺れている。04年アテネ五輪予選を兼ねた10月の世界選手権で惨敗し、現時点で五輪出場枠獲得は微妙な状況。さらに不可解な代表選考をめぐって選手会が日本協会に質問状を提出するなど、内部問題も表面化した。競技自体の存続危機にもつながる迷走に、00年シドニー五輪代表の第一人者・中田大輔(29=StyleSC)が、トランポリンの将来と自らの夢のため、日刊スポーツにメッセージを寄せた。

 みなさんお元気ですか。中田大輔です。トランポリンのプロ選手として活動しています。3年前のシドニー五輪では、たくさんの応援をいただきました。あのとき僕は故障もあって満足のいく演技ができず、4年後の雪辱を心に誓っていました。しかしその舞台は現時点で、かなり遠いものと言わざるを得ません。

 今年10月の世界選手権で、日本は男女ともに五輪出場権を獲得できませんでした。僕はそこで戦うことすらできなかった。代表に選ばれなかったのです。五輪種目にないシンクロの選手として会場にいました。

 終わってみて感じたのは「日本は本当に全力で、一致団結して戦えたのだろうか」ということです。驚いたことがありました。知り合いの外国人選手に「五輪が決まったね。おめでとう」と言うと「いや、まだ決定じゃない」との答えが返ってきました。五輪出場16枠のうち、そこで決まるのは13枠だけだと、初めて知りました。日本選手に情報は伝わっていなかった。ほかの競技でこんなことがあるでしょうか。

過去10年の全日本選手権優勝者
男子 女子
94 福井卓也 古 章子
佐々木恵美
95 中田大輔 古 章子
96 中田大輔 古 章子
97 中田大輔 古 章子
98 中田大輔 古 章子
99 中田大輔 斎藤幸恵
00 中田大輔 柳川雅子
01 中田大輔 広田 遥
02 上山容弘 広田 遥
03 川西隆由樹 広田 遥

 日本協会は7人の「アテネ五輪強化指定選手」を決めています。僕もその1人ですが、実質的な活動はほとんどありません。代表チームの強化合宿は年間を通じて2泊3日だけという年もあります。日の丸をつけた代表としての一体感を持つには、短過ぎるように感じます。

 シドニー五輪後、僕はプロ選手になりました。体操界では初のことです。テレビ番組やミュージカル出演をはじめ、講演や指導などトランポリン関連の仕事も多数こなしてきました。どれも競技の認知と発展につながれば、という考えからです。

 野球やサッカーとは違うし、自分からアピールしなければ見てもらえない。だからこそ4年に1度の五輪が、どれほど重みを持っているか。大げさにいえば、競技の存亡がかかっているのです。それなのに、選手が十分に実力を発揮できる環境が用意されていない。トランポリン界全体が反省しなければいけないことだと思います。

 でも後ろを向いている時間はない。日本がアテネ五輪に出場できる可能性が1%でもあるなら、そこに全力を注ぐしかありません。その結果、来年がだめでも、僕は08年北京五輪を目指すつもりです。

 今は日体大の大学院に通っています。将来、大学で指導者になるためです。若い選手に夢を与えたい。日本で初めてW杯を転戦した人間だからこそ、伝えられることもある。そう考えています。

 これからも挑戦を続けます。応援してください。

 ◆中田大輔(なかた・だいすけ) 1974年(昭和49年)3月4日、石川県美川町生まれ。3歳からトランポリンを始め、日体大荏原高から日体大へ。95年全日本選手権に初優勝し、01年まで7連覇を達成。98年から日本選手として初めてW杯転戦。00年シドニー五輪12位。01年にStyle SCを設立。同年W杯シンクロで初優勝。映画「赤影」にも出演した。165センチ、60キロ。

 ◆トランポリン 00年シドニー五輪から体操競技の1種目として正式採用された。国際連盟も日本協会も、それぞれ体操連盟(協会)の傘下にある。シドニーでは男女各12選手の参加だったが、アテネ五輪では16人に枠が広がった。予選は規定と自由があり、上位8人が進出する決勝は自由のみで争われる。10回の連続跳躍で、すべて異なる演技を行わなければならない。10点満点の演技点と、上限なしの難度点で採点する。

(写真=シドニー五輪で演技する中田)


減点見逃し指摘、都協会から注意

 今年の中田は4月に舞台「マッスルミュージカル」に出演。トランポリンを使ったパフォーマンスが話題を呼んだ。6月の東京都競技会では2位。ここで優勝した選手の「タイムオーバー」による減点が見逃されていたことを抗議。経過を自身の公式サイトにも掲載したことで東京都協会から注意を受けた。4年近く続いたホームページの更新は中断。練習場所も変更を余儀なくされた。

 8月2日の世界選手権最終選考会で、練習不足と故障もあって5位に終わった。代表は「上位3人+協会推薦1人」と発表されていたため、中田が選出される可能性もあったが、上位4人がそのまま代表となった。9月のW杯プラハ大会に出場。川西と組んだ男子シンクロで3位に入った。11月9日の全日本選手権では男子個人2位。同23日の全日本トーナメント選手権では優勝を飾り、復調を印象づけた。



日本協会に渦巻いている「エゴ」

<解説>

03年世界選手権男子成績
順位 選手名 所属 得点
シュテーリク ドイツ 41.5
モスカレンコ ロシア 41.5
マルタン フランス 41.3
30 上山 容弘 大体大 66.0
33 外村 哲也 日体大 65.9
46 川西隆由樹 金沢学院北国ク 64.2
55 人見 雅樹 金沢学院北国ク 62.6
※日本選手は予選の得点

 マイナー競技だからこそ、問題が多い。例えばマラソンや水泳で不透明な選考があったら大問題になる。しかし、トランポリンは残念ながら注目度が低い。目立たないから、誤った方向が是正されにくい。

 今回の世界選手権について日本協会のある幹部は「エゴが渦巻いている。五輪出場へ一丸になる雰囲気がなかった」と吐き捨てた。採点競技の性格上、無名の選手に高得点は出にくい。中田と古という国際舞台で実績を持つ選手を代表から外したことが、結果的には失敗に終わった。

 足りないのは一体感だけではない。勝利に不可欠な情報収集能力もない。複数選手の証言によれば、協会は世界選手権の現場でさえ「国別順位13位まで」という五輪切符獲得条件も知らなかったという。これでは目標すら立てられない。

 日本代表の強化合宿は、年間たった3日。今回の世界選手権でも事前合宿はなかった。「予算も指導者の時間もない」というのが理由だが、五輪出場権をどうとらえているのか。「自費でもいいから実施してほしかった」というトップ選手の悲痛な声もあった。

 だれもが子供のころ遊んだことのあるトランポリン。競技のおもしろさをより多くの人に知ってもらうため、関係者は全力で改革に取り組むべきだ。【高宮憲治】


03年世界選手権女子成績
順位 選手名 所属 得点
コックバーン カナダ 40.2
モフチャン ウクライナ 39.7
ドゴナーゼ ドイツ 39.2
24 半本ひろみ 金沢学院北国ク 63.9
30 広田  遥 阪南大 63.2
34 斎藤 幸恵 日体大 62.5
42 徳間 宙意 あおぞらク 61.6
※日本選手は予選の得点

女子代表も不透明選考…1度は選出、抗議で変更

 シドニー五輪6位入賞の古章子(30=金沢学院北国ク)は、世界選手権最終選考会で4位に入り、1度は代表に選出された。しかしその後、一部チームからの抗議により、日本協会臨時理事会で「W杯第2、第3戦の順位で4番目の代表を決定する」と選出方法を突然変更。結果的に広田遥(阪南大)と代表が入れ替わった。

 この不透明な選考に対し、選手会(川西隆由樹委員長)は先月、日本協会に対し「質問状」を提出した。今年の全日本王者である川西は「このままにしておいて、今後また同じことが起こったら、と思うと選手も不安になるから」と話した。当事者の古は「世界選手権に合わせて練習していたし…」と無念さを隠せない様子だった。



トランポリンの五輪出場権は残り「3枠」

 トランポリンの五輪出場権は男女ともに16枠あり、今年の世界選手権の成績で13枠までが決定した。日本は国別順位で男子が17位、女子が15位に終わり、出場権獲得を逃した。残り3枠は(1)開催国を優先(2)出場権のない大陸を優先(3)IOC推薦、と決められている。日本の男子が出場権を得られるのは(3)以外になく、きわめて厳しい状況。もし(1)(2)(3)の枠が適用されない場合は国別順位の14位から順に拾われるため、女子は男子よりも獲得の可能性が高い。全出場国が決まる時期は日本協会も明確に把握していないが、来年2月の国際体操連盟理事会が有力とみられている。

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