栃東王手、かど番Vだ/初場所
<大相撲初場所>◇14日目◇21日◇東京・両国国技館
大関栃東(29=玉ノ井)が3度目の優勝へ王手をかけた。1差で追っていた前頭11枚目の北勝力(28)を引き落として単独トップの1敗を守った。今日千秋楽の横綱朝青龍戦に勝てば13場所ぶりの優勝が決まる。関脇白鵬(20)は前頭14枚目の時津海(32)との2敗対決を制し、逆転初優勝へ望みをつないだ。3敗の横綱朝青龍(25)は8連覇の可能性がついえた。
張り手に顔をゆがめながら、栃東が前に出た。粘る北勝力に押し戻されても、ひるまない。真横に振り抜いた右のおっつけが左腕をとらえ、151キロの巨体をいなしながら引き落とした。3度目の賜杯へ、いよいよ王手。同時に、朝青龍の8連覇を消滅させた。
支度部屋ではいつも伏し目がちな男が、視線を上げ、時折白い歯を見せながら質問に答えた。「ちょっと硬くなったね。勝つと負けるでは違うからね」。素直に緊張も認めた。「自分から攻めていけば、攻められても怖くないから」。表情から自信がにじんだ。
父で師匠の玉ノ井親方(元関脇栃東)は言う。「今年で30歳だけど、ようやく心技体がそろってきた。その経験を生かす時だ」。栃東が毎朝のけいこ後に必ず手を合わせる先には、父の師匠である先々代春日野親方(元横綱栃錦)の位牌がある。今の栃東と同じ29歳で横綱昇進を決めている。北の湖理事長(元横綱)は「13勝は重い。1つのめど」と話した。かど番で迎えた場所だったが、今日千秋楽で朝青龍を倒し、14勝で優勝を決めれば、次の春場所は文句なしで綱とり場所になる。
帰り際、国技館の地下駐車場にはこの日到着した優勝パレード用のオープンカーがあった。栃東は目もくれず、迎えの車に乗り込んだ。「いい形で千秋楽にいける。これは本当にいいこと。明日? いい相撲を取るだけ」。闘志は胸にしまい込んだ。口にしなくても、やるべきことは分かっている。横綱を倒し、自らの手で頂点への道を切り開く。【太田尚樹】
[2006/1/22/08:47 紙面から]
写真=北勝力の突き押しに苦戦の栃東は、一瞬の引き落としで破り13場所ぶりの優勝に王手。中央下は取組を見つめる朝青龍(撮影・岡本肇)
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