魁皇初の序盤3敗、引退なのか…/春場所
<大相撲春場所>◇5日目◇16日◇大阪府立体育会館
かど番の大関魁皇(33=友綱)が、引退のがけっぷちに立たされた。新小結露鵬(26)に力なく押し出され3敗目。かど番は9度目だが、序盤5日間で黒星が先行したのは初めて。大関から陥落すれば引退するのが既定路線で、状況は極めて厳しい。無傷5連勝は横綱朝青龍(25)と大関とりの関脇白鵬(21)かど番の大関千代大海(29)の3人。綱とりの大関栃東(29)は1敗を守った。
逃げ惑うように後退する魁皇がいた。露鵬の左のど輪に上体をのけ反らせ、押し込まれて俵に足がかかる。何とか回り込もうと必死の形相で後ろに下がる姿が痛々しかった。すぐに追い込まれて押し出され、力なく土俵を割った。かつての怪力大関は見る影もなかった。「攻めたい気持ちはある。なかなか自分の思うようには体が動かない」。支度部屋では視線を落としたまま、1メートル先にも届かないような小声で話した。
もう後がない。過去8度のかど番は、いずれも2ケタ勝利を挙げて切り抜けてきた。だが、9度目の今回は初めて、序盤5日間で黒星が先行した。今後も横綱朝青龍に栃東ら大関3人に加え、大関を狙う白鵬と難敵が待ち受ける。北の湖理事長(元横綱)も「今までは体をぶつけていってたのが、今は受けている。今年で34歳? きついんだろうね」と心配する。
大関からの陥落は、引退を意味する。師匠の友綱親方(元関脇魁輝)は常々言ってきた。「関脇に落ちて相撲を取り続けるような、みっともないまねはさせない」。もちろん、魁皇本人にも伝えてある。49年夏場所の15日制定着以降、横綱以外では最多5度の優勝を果たし「最も綱に近い」と呼ばれた男は、引き際を覚悟している。
今日6日目の大一番は黒海戦。くしくも04年九州場所で、同じ72年生まれで親友の大関武双山に引導を渡した相手だ。友綱親方は「今は気持ちがバラバラ。明日思い切っていけるかどうかだ」と立ち直りに期待する。
そして帰り際、魁皇は自分に言い聞かせるように言った。「まだ気力とかはあるんで」。車に乗り込む直前には、同じ一門の白鵬からあいさつされて少しだけほおを緩めた。このまま新旧交代の波にのみ込まれてしまうのか。いよいよ瀬戸際に立たされた。【太田尚樹】
[2006/3/17/09:54 紙面から]
写真=露鵬に敗れた魁皇は、深々と頭を下げて引き揚げる(撮影・岡本肇)
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