
|
| 一射に魂を込める林(同大・洋弓練習場にて)
|
|
世界の頂点狙い撃ち
ゆったりとした射形は風格さえ漂わせている。真っ直ぐな視線の先には70メートル先の小さな標的。放たれた矢は的の中心へ吸い込まれた。そんな常識を超えたプレーを見せるのは林勇気(20)。日本人トップアーチャーの1人として国内外で活躍している。
6月にスペインで行われた世界フィールド選手権に日本代表として出場。結果は総合37位と振るわなかったが、「最後まであきらめず、自分の打ち方が出来た」。満足気な表情を浮かべた。
しかし、それだけでは終わらない。帰国4日後には全日本学生アーチェリー女子王座決定戦に出場。チーム内では1番大きな声を出し士気を高めるムードメーカーだ。長旅の疲れと練習不足から「腕が震えました(笑)」と話すも、念願の王座優勝にしっかりと貢献。仲間と共に学生ナンバーワンに輝いた。
林がアーチェリーと出会ったのは中学生の時。幼少時代はディズニーキャラクターのロビンフットに憧れた。「弓を使った競技がしたい」。その一心で名前すら知らなかったアーチェリーの世界に飛び込んだ。確かな技術と強い精神力が必要なスポーツ。だが「(練習を)すればするほど自分に返ってくる」という魅力に取りつかれた。国内トップクラスの選手としてテレビ番組「THE・鉄腕ダッシュ!!」(日本テレビ系)にも出演。隣の家のラブレターに、矢の先につけたハンコを押す企画で見事成功、勝負強さを全国にアピールした。
好きな言葉は「チャンスの神様は前髪しか髪がない」。チャンスはその場でつかまなければならない、後からはつかめないという意。林自身「与えられた機会には必ず結果を出す」。確固たる決意で試合に臨む。
ユニバーシアード選考会ではプレッシャーから所々で大きく外すミスが出た。それでも他の選手とは一線を画す2位通過。「世界に行く」という気負いも最後には力に変えた。昨年は世界学生団体3位。まだ一度も世界の頂きは見ていない。「1勝でも多く勝つ。日本チームに貢献したい」。今、始まる戦いにしっかりと標準を定めた。
(伊藤暢希)
◆林勇気(はやし・ゆうき) 1984年(昭和59年)10月2日生まれ。162センチ、B型。松蔭高出身、商学部3年生。好きな食べ物はカルボナーラ。

|