北京オリンピック(五輪)のスキージャンプスーツの開発に携わったミズノが10日、日刊スポーツの書面取材に応じ、新種目のジャンプ混合団体で相次いだスーツの規定違反について言及した。

「FIS(国際スキー連盟)の公式発表がないため、スーツ規定違反の詳細情報は確認中です」とし、現地からの情報を得た上で、今後の対応を検討していくとした。

今大会のスキージャンプスーツの開発はスポーツ庁からの委託事業で、ミズノのほか、日本スポーツ振興センター(JSC)、全日本スキー連盟(SAJ)と共同実施している。今回提供したスーツについて同社は「SAJのご要望に応じてスーツごとにパターンを細かく調整し、サプライヤーとして常にルールの範囲内のスーツを納品しています。長期の海外遠征においては、選手の体形がスーツ製造時点とは変わってしまうことがあり、帯同したSAJスタッフが必要に応じてサイズを微調整しています」と説明した。

18年平昌で着用したスーツとの違いについて同社は「昨シーズンから女子用スーツは脚と背中のパーツ数が変わり、全パーツ数が19個から13個に減りました」と説明。その上で苦労した点は「厳しいルールの中で少しでも遠くに飛べるスーツを開発すること。4年間少しずつ改良を加えてきました」という。

本大会用として各選手たちに提供した具体的な本数は社外秘で明かすことができないが「今大会は代表チームが遠征先から直接現地入りしており、ワールドカップで使用したスーツが練習用として持ち込まれています」。万が一、生地が損傷した場合にパーツ交換できるように、全日本連盟の協力を得て予備の生地を選手村へ持ち込んでいる。「ある程度のトラブルであれば、現地のSAJスタッフの方々で十分対応できるように備えています」とした。

今回のジャンプスーツ規定違反問題は、7日に行われた新種目のジャンプ混合団体で起きた。日本の1番手の高梨沙羅(25=クラレ)が1回目をスーツの規定違反で失格になったが、今回は高梨だけではなく4カ国計5人が失格となった。異例の事態に各国から不満の声が上がっている。