◇1984年ロサンゼルス大会男子ラピッドファイアピストル(8月2日・プラド射撃場)1位・蒲池猛夫(日本)595点、2位・イオン(ルーマニア)593点、3位・ビエス(フィンランド)591点

 48歳の蒲池は、初日297点(30発)で4位につけて後半の2日目を迎えた。8秒射、6秒射で満点を出したものの、4秒射の1発目と2発目は9点。周囲の心配をよそに驚異的な集中力で挽回し、その後は見事に10点を並べて298点。2日間の合計で2位イオンに2点差をつけ、逆転で金メダルを獲得した。

 大会6日目のこの日は、体操やレスリング、競泳など日本の有望競技がめじろ押し。しかし、大会第1号の金メダルは、この蒲池だった。80年モスクワ大会後に1度引退してからの復帰で頂点に立てたのは「心で撃つ」に徹したからだ。1歳10カ月の孫を持つ「おじいちゃん」は日本五輪史上最年長金メダリスト。今月4日、脳梗塞のために千葉市内の病院で死去した。(2014年12月10日東京本社版掲載)