◇1992年バルセロナ大会男子マラソン(8月9日)1位=黄永祚(韓国)2時間13分23秒、2位=森下広一(日本)2時間13分45秒、3位=フライガング(ドイツ)2時間14分00秒

 これが3回目のマラソンだった24歳の森下は、レース終盤まで黄と激しいデッドヒートを演じる。「このままトラックまで持ち込めば勝てる」と思った40キロ過ぎ、モンジュイックの丘手前の最後の給水ポイントで黄がスパートをかけた。あっという間に30メートルの差をつけられて銀メダル。それでも、メキシコ大会での君原健二の銀以来、日本男子のメダルは24年ぶりだった。

 「最強」と言われた日本マラソン陣は3選手がともに入賞。4位には中山竹通が入り、前年の世界選手権で金メダルに輝いた谷口浩美も8位になった。途中転倒に「こけちゃいました」と苦笑いした谷口は、旭化成で森下の先輩。「僕がちゃんと走っていれば、森下の優勝をアシストできたのに」と悔しがった。(2014年12月24日東京本社版掲載)