ただのオヤジになります-。リオデジャネイロ・パラリンピック柔道男子60キロ級(視覚障害)で銀メダルを獲得した広瀬誠(39=愛知県立名古屋盲学校教)が7日、引退を表明した。

 都内で行われたリオ大会特別賞授与式に出席。式典後、進退を問われた広瀬は「これからは、ただのオヤジになります。柔道は趣味になります」と話した。

 リオ大会では「日本選手団メダル1号」となった。会場には、妻里美さん(35)と娘3人も応援に駆け付けた。試合前には必ず、柔道着姿の長女優宇ちゃん(6)次女巴恵ちゃん(3)三女若奈ちゃん(2)の写真を見てから試合に臨んだ。

 高1で柔道を始め、2年の時に視覚神経が萎縮するレーベル病を発症し、視力が急激に低下した。不安を拭ってくれたのが、大好きな柔道だった。銀メダルを獲得した04年アテネ大会から4大会連続でパラリンピックに出場。階級を66キロ級に上げたロンドン大会でメダルを逃し、“引退”を決めたが、「娘たちに大舞台で戦う強い父を見せたい」との思いで現役を続行した。代表合宿や減量、トレーニングなどで家族との時間が少なく、迷惑をかけてきた。リオ大会直後は「これからは子どもと遊ぶ時間を作りたい」と言っていたが、引退に関して明言はしていなかった。