12年にノーベル医学生理学賞を受賞した京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏(54)が19日、ユニークな語りで京都の魅力を発信した。19年ラグビーW杯、20年東京五輪・パラリンピックなどに向け、国際的に機運を高めるための国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」が京都市内で開幕。山中氏は全体会での基調講演を行った。

 講演の冒頭では「ノーベル賞を取った(日本国籍取得者)20人のうち10人が京都にゆかりのある先生方。その理由の1つが京都の文化と伝統だと思います」と柔らかい口調で持論を展開。「建造物、自然、邦楽、京料理、お茶、お花…」とスクリーンに映り出される写真に沿って説明し、「個人的に一番気に入っているのはこういった文化です」と語ると場内が笑いに包まれた。後ろには美しい舞妓(まいこ)の写真が表示されており、軽快な語りで聴講者の興味を引き寄せた。

 山中氏は現在、iPS細胞の技術を使った医療応用の実現に向けて、日々研究活動を行っている。4年後に迫る東京五輪・パラリンピックに向けては「総力を挙げて努力する必要がある。(リオデジャネイロ)パラリンピックでは脊髄損傷の患者さんも活躍していた。そういった障害者にも(研究は)生きると思う。4年後の成功を心よりお祈りしています」とエール。京都や日本の文化や魅力を、スポーツとは別角度から発信するスピーチとなった。