距離の女子5キロ座位で新田のんの(20=札幌デザイナー学院)が4位に入り、第1日の日本勢最上位となった。女子7・5キロフリー立位の阿部友里香(21=日立ソリューションズJSC)は6位。出来島桃子(42=新発田市役所)は7位だった。男子は10キロフリー立位の新田佳浩(36=日立ソリューションズ)の7位が最上位で、16歳の川除大輝(日立ソリューションズJSC)が9位、佐藤圭一(37=エイベックス)が10位だった。男子10キロフリー視覚障害の高村和人(34=盛岡視覚支援学校教)は9位だった。

 新田は小児がんのため生後6日目に手術を受けた。物心ついた時から車いす生活をしている。小学3年で車いすマラソンを始め、同6年の冬にはスキー板が2本装着されたシットスキーでゲレンデを滑り降りていたという。車いすマラソンでパラリンピック出場を目指していたが、15年12月に、日本代表の荒井秀樹監督から「クロスカントリースキーの合宿に参加してみませんか」と、直々に電話を受けた。

 参加したら強化指定選手が集まる代表合宿だった。「雪の上をスイスイと走れることが、こんなに楽しいなんて!」と夢中になった。その後、15ー16シーズンのクロスカントリースキージャパンパラ競技大会に初出場。今季からW杯に参戦し、今大会は3戦目。「前日にしっかりコースを確認できたので、レース中にどこのレーンにはいればいいかなど、落ち着いてレースに臨めました」とレースを振り返った。

 シーズンインとなった昨年12月のフィンランド大会は15位。今大会直前に行われた平昌でのプレ大会は失格したが、自国開催の今大会で4位の快挙。「クロカンを始めてから毎日1時間でも2時間でも、とにかくしっかり雪の上で練習してきたこと、トレーニングジムに通って上腕や上体の筋力アップを図ってきたことが成果につながりました」。

 所属する専門学校には、車いすのトレーニング用ローラーも整備されているという。経験は浅いが、まっすぐにトレーニングに向かうひたむきな姿勢で成長してきた。「オフシーズンには車いすマラソンのトレーニングもしますが、さらにストックを持って車いすでの走り込みもして、正確なストックワークを養うようにしてきました」。

 北海道札幌市出身。「コースで走っていて“のんちゃん、頑張って!”という声援が聞こえました」。地元の応援団の声援も力になった。

 競技を続けるためにクラウドファンディングで支援も求めた。目標額に達し、競技用のシットスキーをオーダーすることができた。

「今まで使っていたのは座面に手が入ってしまうくらいサイズが合わないものでした。ブカブカのシューズで走るようなものです。自分にフィットした用具を使うことで、力をしっかりと入れられます。たくさんの応援してくれる方のためにも、札幌でいい滑りを見せられたのは、すごくうれしかったです」。

 19日は得意の2・5キロ。「気を抜かずにしっかり頑張ります!」。【宮崎恵理】