バイアスロン女子10キロ立位で、上肢障害の出来島桃子(42=新発田市役所)が5位に入った。阿部友里香(21=日立ソリューションズ)は6位。同座位で新田のんの(20=札幌デザイナー学院)が完走4人中4位。男子12・5キロ立位で佐藤圭一(37=エイベックス)が6位、星澤克(16=立命館慶祥高)が9位、男子視覚障害の高村和人(34=盛岡視覚支援学校)が8位だった。

 レースは1周2キロのコースを5周する間に、4回全20発の射撃を行う。出来島は1回目の射撃では5発目を外したが、2回目は満射、3回目で1発外し、最後の射撃も満射でゴールに向かった。1回の射撃ミスごとに150メートルのペナルティーループを周回しなくてはならない。最後の射撃の後、3番手につけていたが、結果的にトップと2分56秒9差の5位でフィニッシュ。「射撃のミスとペナルティーの周回は想定内です。でも、ラストに(走力として)上がらなかった」と振り返った。

 「短距離より長距離。走力プラス射撃で争うバイアスロンの方がチャンスは多い」。出来島が目指すところは揺るがない。

 20歳の時に悪性腫瘍を切除する手術を受け右腕に機能障害が残った。大きく腕を動かすことができず、握力も弱い。肘を曲げてエコバッグなどを持つことで、日常的に筋力を維持しているという。

 クロスカントリースキーを始めたのは、障害を負ってからだ。地元新潟県でのスキーイベントに参加して初めて体験した。その後ジャパンパラ競技大会に出場し、強化指定選手として合宿に参加するようになる。新潟県新発田市役所に勤務する公務員として、平日はフルタイムで働き、トレーニングは週末と代表合宿が中心だ。

 パラリンピックには06年、トリノ大会から出場。前回14年ソチ大会のバイアスロン12・5キロで惜しくも優勝を逃した。4回20発の射撃を満射させた時点でトップに立っていたが、レースで一部、間違ったコースを走らされた選手がいたことから、最終の周回時に公平を期すため0・5キロ余分に走らされたことで結果的に7位に落ちて、幻の金メダルとなったのである。

 ソチ以降も自分のペースを守って練習を続けてきた。平日の夜に時間があれば自宅で筋力トレーニング。夏場にはローラースキーでの走り込み。黙々と1人で取り組んでいる。そして、今シーズン、2月に行われた世界選手権で2位、W杯の平昌大会で3位と立て続けに表彰台に上がった。

 「これまでと特に練習時間や内容が大きく変わったわけではありません。ただ、昨年7月、9月、10月と3回、射撃の代表合宿に参加してしっかりトレーニングができました。表彰台に上がれた時には、海外の他の選手が外した時に、自分が崩れなかったことが結果につながったと思っています」と、冷静に自己評価している。

 来年の平昌パラリンピックでは幻ではない表彰台が見えてきた。「今シーズンは、練習してきたことがレースで発揮できることも多かった。来年に向けてはさらに走力をアップして臨みたいと思います」。今季の手応えを本番につなぐ。【宮崎恵理】