日本製の“侍義足”で世界一を目指す。競技用義足メーカー、Xiborg(サイボーグ)が19日、パラ陸上男子100メートル(切断などT44)の全米王者でリオデジャネイロ・パラリンピック5位のジャリッド・ウォレス(27)と義足の共同開発と提供の契約を締結したこと発表した。

 同社の義足はリオ大会陸上男子400メートルリレー銅メダルの佐藤圭太らが使用しているが、海外選手は初めて。同社は20年東京パラリンピックで五輪記録を上回る義足を作ることを目標としている。遠藤謙社長(38)は「世界最速の競技用義足を目指している中でウォレス選手と契約できたことをうれしく思います。国際大会で優勝経験を持つ選手のアドバイスは必ず役に立つと考えています。20年大会は日本人選手に注目されがちですが、日本の技術が世界の舞台で活躍し、注目される場にもなってほしいと考えています」と話した。

 ウォレスの義足は20年大会に向けて、現在開発中。データや意見を参考に、究極の義足開発を進めており今年12月までには完成予定という。これまでは世界で圧倒的なシェアを誇るオズール製(アイスランド)義足を使用していたが、21日の「セイコーゴールデングランプリ陸上2017川崎」(等々力陸上競技場)にはサイボーグ社の佐藤の義足で出場する。「もちろん勝つつもり。昨年は10秒9だったので、今年はもっと早く走って3連覇を目指します。サイボーグ社は2、3年後には世界一のメーカーになっていると信じている。僕も新しいものを一緒に開発するのは楽しいし、いずれは100メートル、200メートルともに世界記録を塗り替えたい」。

 100メートルでいえば、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)の9秒58が世界最速だ。「9秒台を出す自信はある?」との問いに「ボルト超えは無理だね」と苦笑いしていた。