世界2位で第1シードの上地結衣(23=エイベックス)が大会5連覇を達成した。女子シングルス決勝で同3位で第2シードのディード・デグルート(20=オランダ)を6-2、6-2で破った。

 5連覇はダニエラ・ディトロ(オーストラリア)が98年から02年にかけて記録して以来、大会史上2人目。20日にはマリヨレン・バイス(29=オランダ)とのペアでダブルスも制しており、単複2冠となった。

 デグルートのバックがエンドラインを越えると、上地はやっと表情を崩して右手を2度、3度と握りしめた。スコア上では計4ゲームしか落とさないストレートの快勝。だが、内容には納得していなかった。20日の準決勝で突然崩れたサービスは、この日も乱れた。相変わらずトスがうまく上がらない。2セットとも自分のサービスを落としての立ち上りだった。

 デグルートはフォアの強打が持ち味。コースが甘くなれば打ち込まれる。だから「コートの中央に高いトップスピンを打って考えさせました」。ともに2ゲーム目にブレークバックする集中力でペースを渡さない。トップスピンロブで十分なスイングをさせないことで精神的にも追い込み、ミスも誘ってポイントを重ねた。

 バックスライスの切れ、フォアに加えてバックのトップスピンも磨きをかけている。第2セット最終ゲームでデュースに持ち込み、ゲームポイントをつかんだバックハンドのカウンターリターンは世界屈指の精度を誇る。

 1月の全豪オープンを制したことで、年間グランドスラムの期待もかかる。世界ランクで1つ下のデグルートを圧倒し、1位復帰も大きな目標になる。ただ、上地は冷静だ。「今大会は30~40点です。自分が納得できるテニスをしたい。その結果、1位になれるならうれしいですが…。1位が目的ではありません」。今後は韓国でツアーに出場後、今年2つめのグランドスラムタイトル、全仏オープンを目指して調整を続ける。【小堀泰男】