リオデジャネイロ・パラリンピックのボート混合ダブルスカル(運動機能障害)に出場した駒崎茂(54=総和中央病院)が26日、都内で行われた「パラスポーツメディアフォーラム」に出席し、20年東京パラリンピックへ向けてボート競技の課題を挙げた。

 リオ大会で12位だった駒崎は「世界との差」を痛感した。「3年後までにボート選手が増えているか不安です。ボートの場合、国内では何らかの競技を経験してから始める選手が多く、選手発掘が難しい。選手発掘と普及を同時に進めないと世界との差はなかなか縮まらない」と現状を説明した。

 日本パラローイング協会によると、国内の競技人口は約100人。強化指定選手は3人のみで、駒崎は強化選手ではない。14日の信毎諏訪湖レガッタでは相手が見つからず、競技経験のない妻の延見子さんとペアを組むという“珍事態”が起きた。欧米諸国の強豪国は健常者と同じく練習施設や選手育成などの環境面が整っている。4月から国際大会では、健常者と同じ2000メートルで争うことになった。これまでの1000メートルよりパワーと持久力が必要となる。体が大きく手足が長い人ほど有利とも言われており、協会関係者も「小さいから負けではないが、大きい選手を発掘するのが一番早い」と話した。

 03年7月に交通事故で両脚を切断。退院後、運動不足から太り始めて競泳を始めた。04年アテネパラリンピック競泳男子200メートルメドレーリレー銀メダリストでボートの代表候補でもあった前田大介氏に誘われて、11年からボートに挑戦。選手層が他の競技よりも比較的薄く、競泳と同じ筋肉を使えることに目をつけた。

 20年東京大会は58歳で迎える。「ボートは本当にきつくて苦しいけど、負けず嫌いなので体が壊れるまで続けたい。おじさんの意地を見せますよ」。50代の星が輝きを放つ。