波乱の決勝となった。初出場の佐藤友祈(26=WORLD-AC)が3分41秒70で銀メダルを獲得した。400メートルに続き、今大会2個目の銀となった。

 2周目で世界記録保持者のマーティン(米国)と並んだ。残り200メートルで勝負となり、1秒07差で敗れた。ゴール後、笑顔はなく下を向いたままだった。「最後の200メートルでマーティン選手の加速に気づくのが遅れて、その差が埋まらなかった。トップスピードは五分五分ぐらいだけど、経験の差が出た」と振り返った。

 レース後、結果が二転三転する騒動があった。佐藤友はゴール後、「失格」とされ、4位の上与那原寛和(45=SMBC日興証券)が繰り上げで3位となった。その10分後、佐藤友の失格が取り消され、7着だった野田昭和(34=鳥取パラ陸協)が失格となった。決勝は日本人選手が3人出場し、関係者によると、大会運営側が佐藤友と野田を間違えたという。

 日本パラ陸上競技連盟は現在、野田の失格について抗議中という。この公式記録を巡る騒動を受け、佐藤友は「失格の要素もなく、何かの間違いだろうと思いました。落ち着きませんでした」と苦笑いした。

 佐藤友は21歳の時、脊髄炎を発症して車いす生活になった。体重は20キロ増加して90キロまでになった。転機は12年のロンドンパラリンピック。テレビで見た、車いす選手が疾走する姿に感動し、陸上を始めることを決意した。拠点を岡山に移し、パラリンピアンの松永仁志に師事。体幹トレーニングなどに励み、ぶれの少ない安定した走りを習得した。昨年の世界選手権で優勝するなどこの4年間で急成長を遂げた。