予選2位の藤森由香(31=アルビレックス新潟)は7位に終わった。

      ◇       ◇

 まだ実戦では成功していない勝負手だった。今季を最後に第一線から退く藤森由香は、75・25点以上ならメダル獲得となる3回目に縦2回転、横2回転半の「フロントサイドダブルコーク900」という難しい技に挑んだ。「うまく回転を止めることができなかった」と転倒し、4度目の五輪を7位で終えた。だが、攻めた結果に「自分の出せる最高の技を出した」と充実感にあふれていた。

 過去3度の五輪はスノーボードクロスで出場。だが、もともと写真や映像が好きで、派手なジャンプを見せるビッグエアやスロープスタイルに興味があった。若くはない28歳で転向を決断した。慣れない縦回転など苦労し、16年11月と昨年9月には頭部を強打して脳振とう。「私は何でここにいるの?」と、短時間ながら記憶を失ったこともある。

 波乱に満ちた競技人生、その最後の五輪は満面の笑みで幕を閉じた。「すごく充実した3年間だった。スノーボードは人生そのもの。手、腹、足、顔、胴、スノーボードみたいな感じ」。今後は映像に残す活動などを行う予定だ。【上田悠太】