日本のLS北見が、男女を通じてカーリングで日本勢初のメダルとなる「銅」を獲得した。スキップ藤沢五月(26)を、サード知那美(26)とリード夕梨花(24)の吉田姉妹、セカンド鈴木夕湖(26)をはじめ、リザーブに回ったチーム創設者の本橋麻里(31)らが支えて偉業を成し遂げた。コーチ陣を含めたチーム力で、大きな夢を結実させた。

 姉知那美と、妹夕梨花。2人は氷上で抱き合った。姉は「早くおばあちゃんにメダルを見せてあげたい。お母さん、お父さん、お姉ちゃん。私たちが別々だった時に苦しんだのは、私たちじゃなくて家族。メダルは家族の宝物で、おばあちゃんの冥土の土産です」と笑った。一時は違うチームでプレーしていた姉妹が、一緒になって結果を出した。

 中学、高校では妹がサード、姉がスキップで4年間一緒にプレー。その後、姉は北海道銀行、妹はLS北見と分かれた。14年のソチ五輪選考。LS北見は北海道銀行に敗れた。妹は、姉が五輪でプレーする姿を見なかった。日本勢最高の5位に「お姉ちゃん、すごいね」と何度も言われた。「本当に嫌になるぐらい言われて。腐って、やめたいと思った」。

 姉にも、苦難が待っていた。ソチ滞在中にコーチから戦力外通告。すぐに応援に来ていた母富美江さん(58)に「お母さん、クビになっちゃった」とメッセージを送った。母から「よく頑張ったと思うよ」と返信が届いたが、優しさに胸が痛んだ。「お母さんにとって悲しい五輪じゃなく、楽しかったと笑える五輪にしたい」と誓った。

 それから2カ月後の14年春、姉はLS北見に加入。2人の再生が始まった。姉が取り戻したのは、心。前のチームでは試合中に喜怒哀楽が出ることに悩んだ。新たな仲間はそれを“らしさ”と受け止めてくれた。妹が取り戻したのは、自信。15年に加入した藤沢は「ユリカのリードはすごい」と技術を褒めてくれた。この日、85%のショット率を誇った夕梨花は「五輪ってこんなに楽しいんだ。カーリングってこんなに面白いんだと思えた」と笑った。ともに悩み、自分らしさを見つめた先に輝くメダルがあった。【高場泉穂】