平昌冬季五輪(ピョンチャン冬季オリンピック)で右足首のけがからの復活を目指すフィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が、9日から始まる団体には出場せず、個人戦に集中する方向性であることが2日、関係者への取材で分かった。男子シングル66年ぶりの連覇がかかる16日のショートプログラム(SP)、17日のフリーに向け、ピークを合わせていく。

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 五輪での復活を目指す羽生が、連覇のかかる男子シングル個人戦に集中する方向であることが分かった。各個人戦の前には、10チームの国・地域別対抗の団体があり、日本は男女シングル、ペア、アイスダンスの代表9人全員をエントリー申請。ルールにより直前までメンバーは公表されないが、現段階では、宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がショートプログラム(SP)、田中刑事(23=倉敷芸術科学大大学院)がフリーと、初出場の2人が出る可能性が高い。

 団体は14年ソチ五輪で初めて実施され、今回が2度目。日本は前回5位とメダルを逃したが、男子SPに出場した羽生は1位でチームに大きく貢献した。五輪初出場ながら4回転トーループを決めるなど、完璧な滑りを披露。最大のライバルだったチャン(カナダ)や、プルシェンコ(ロシア)を抑えて、首位に立ったことで「プラスですね」と自信を深め、個人戦の金メダルにつなげた。

 昨年11月に負った右足首靱帯(じんたい)のケガは、腱(けん)や骨にも炎症があり、全治約3~4週間という当初の診断より、大幅に回復が遅れた。拠点カナダ・トロントでの本格的な練習再開は、ケガから約2カ月後の1月初旬からだった。五輪までの調整期間は決して十分とはいえず、約4カ月も実戦から遠ざかり、「ぶっつけ本番」で臨む。羽生は1月11日に「五輪に向け、強い気持ちを持って日々過ごしています」とコメントを発表して以来、沈黙を続けている。16日のSP、17日フリーに向け、王者の滑りを取り戻す。