男子フリーは4回転ジャンプの百花繚乱(りょうらん)の争いが繰り広げられた。認定は24人中16人で、4年前のソチ大会の14人から2増だが、回数と種類に大きな進化がある。

 フリー最高点215・08点のチェン(米国)は6回も跳んだ。ゾウ(米国)も5回。2回以上は前大会の8人から13人に増えた。種類も難易度が低いトーループ、サルコーの2つから、ループ、フリップ、ルッツまで、超高難度ジャンプのオンパレードとなった。

 22年北京大会へはどうなるか。いま国際スケート連盟(ISU)が懸念するのは技術偏重。競技の魅力は技術と芸術的要素の総合によるが、4回転の進化が早く、表現力を示す演技構成点との比重がバランスを欠く。そのため来季から4回転の基礎点を下げる検討に入り、さらに男子フリーの時間が30秒短縮され、最大限8回のジャンプ要素が1減される。この先、技術と表現の2つに競技が分かれることも議論されている。

 4回転時代の弊害は、ケガの多発にもある。宇野のトレーナーの出水氏は「フリーは4分半、階段ダッシュをするようなもの。4回転は、その間にうさぎ跳びを挟む感覚」と表現する。プルシェンコが現役時代15度手術したように、チェンも、金も、羽生も体を痛めた。負担が大きく、選手の健康を守る意味でも、抑制傾向が進みそうだ。