フィギュアスケートは今日23日、最終種目となる女子フリーが行われる。ショートプログラム(SP)5位の坂本花織(17=シスメックス)は22日、会場の江陵アイスアリーナで最終調整。好調の秘訣(ひけつ)となっている肩甲骨の可動域を生かした演技で表彰台を狙う。3位オズモンド(カナダ)との差は5・69点。SP4位の宮原知子(19=関大)も2・93点差と射程圏内に位置している。

 決戦の時がやってきた。坂本は最終グループの実力者に囲まれながら、40分間の公式練習を終えた。引き揚げ際に「頑張ります」と言い残し、調子を問う声に「いい方」と明るいトーン。フリー曲「アメリ」をかけての練習ではフリップ-トーループの連続3回転ジャンプなど大きなミスはなく、好調ぶりを披露した。

 SP3位のオズモンド、同4位宮原らと同じで目指すのは表彰台だ。前日21日の演技後には、控えめながら「う~ん…20%ぐらい?」とメダルを意識した。最低条件となりそうな合計210点超えを、ここまで3戦連続で達成中。その原動力の1つが米大リーグのイチローも取り組む「初動負荷トレーニング」だ。

 昨年9月にグレアム・コーチの紹介を受けてトレーニング施設「ワールドウィング神戸」へ通い始めた。多い時には週3回訪れ、自らの体に向き合った。「肩甲骨周りの可動域が結構広がった気がして、滑っている最中や振り付けで違いを感じます」。同施設の荻野智也さん(25)は当初、股関節周りの硬さを感じていたが「1人で黙々とトレーニングをする。1時間ぐらいマシンを使って動くと、その度に『動きやすくなった』と柔軟性が出てきている」と変化を見つめる。

 ジムの玄関先にはイチローの新聞の切り抜きが貼ってあり、坂本も「自分もしっかりとやって、どんどん伸ばしていきたい」と発奮材料にしてきた。「アメリ」はパントマイムを用い、柔らかな動きが多く求められるプログラム。全てを4分に込める。【松本航】