「最速」へ歩み続ける。女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒(31=相沢病院)が19日、平昌(ピョンチャン)市で会見し、3月中旬の今季のワールドカップ(W杯)最終戦を欠場し、カナダ・カルガリーで行われる国際大会で世界記録36秒36の更新を目指すと宣言。1000メートルに続く偉業達成に意欲を燃やした。スピードスケート日本女子初の金メダリストは、まだまだ上を目指していく。

 女王は止まらない。悲願の金メダルを獲得した小平の目は、さらなる高みを見据えていた。会見で今後について聞かれると、「500メートルの世界記録を塗り替えたい」と力を込めた。想定する大会は、3月15日からカルガリーで行われる「オーバルファイナル」。標高1100メートルの記録が出やすい高地でのレースで、昨年12月の1000メートルに続く、2種目目の世界記録更新に闘志を燃やした。

 「自信があった」と振り返った完璧なレースが、記録への思いを膨らませた。練習用のゴーグルから試合用のものにかけかえ忘れるほど集中した一戦。2位の世界記録保持者・李相花(韓国)に0秒39の差をつける大勝で頂点へと駆け上がった。今季出した自己ベストは世界記録まで0秒14。「そう簡単には破れる記録ではないと思うが、気圧の条件や気温がそろえば、十分に狙えるチャンスはある」と自信をのぞかせた。

 感動を呼んだ魂の滑りの裏には、けがからの復活優勝を果たしたフィギュアスケートの羽生結弦(23)の存在もあった。金メダルを獲得した試合をテレビで観戦。「リンクに立った時、何も考えなくても技が決まりそうなたたずまいをしていた。自分もこんな風にできたらと思っていた」とイメージを膨らませ、自らの試合につなげた。

 26日の五輪閉会後も休むまもなく戦いは続く。来月3日には2連覇がかかる世界スプリント選手権も控える。「ゴールだと思うと楽しみがなくなってしまうので、新しい景色を見に行きたい」と小平。枯れることのない情熱を胸に、挑み続ける。【奥山将志】