世界記録を持つ日本は、高木美帆(23=日体大助手)高木菜那(25=日本電産サンキョー)佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)で臨み、2分56秒09の2位で勝ち上がった。21日の準決勝で3位カナダと対戦。14年ソチオリンピック(五輪)後から強化してきた種目で初の金メダルを狙う。準決勝もう1試合は五輪新記録の2分55秒61を出したオランダと米国と組み合わせ。決勝も21日に行われる。

 号砲直後の最初のコーナーで、先頭を滑る高木美が何かに反応するように上体を起こした。2番手の佐藤がスタートでミス。2、3歩目で氷をしっかりと捉えられず、たまらず前に「待って」と声をかけた。それでも、その後は28秒台の安定したラップを刻み、優勝を争うオランダに0秒48差の2位で準決勝に駒を進めた。

 初戦の失敗は、金メダルへの良薬にする。大黒柱の高木美が「スタートのミスだけに気を取られず、ここから何ができるかに目を向けていきたい」と気を引き締めれば、佐藤も「準決勝、決勝はミスのない滑りをしたい」と反省した。

 カナダとの準決勝を突破すれば、決勝は14年ソチ五輪女王のオランダと対戦する可能性が高い。4位に終わった前回大会後、日本は所属の垣根を越えて有力選手を集め、減速を可能な限り抑える先頭交代の技術を磨いてきた。個人の力が上がったことで、1回あたり0・2秒ロスする交代数を4回から3回に減らす作戦も取り入れ、今季はW杯の全3レースで世界新をマーク。昨季まで主要大会で女王の座を奪い合ってきたオランダを圧倒し、金メダル候補として五輪を迎えた。

 1500メートルで銀メダル、1000メートルで銅メダルの高木美は、両レースとも金メダルをオランダ勢に奪われ、リベンジの思いも強い。「オランダがここに合わせてきたのは分かるが、自分たちがパシュートにかけてきた時間はどの国よりも長い。自信を持って挑んでいきたい」と頂点を見据えた。【奥山将志】