平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)女子団体追い抜きは今日21日に準決勝、決勝が行われ、日本が初の金メダルを狙う。4位でメダルを逃した14年ソチオリンピック(五輪)後から、所属の垣根を越えて有力選手が集結。1500メートル銀、1000メートル銅の大黒柱の高木美帆(23=日体大助手)を中心に同走技術を磨き、今季のW杯全3戦で世界記録を出すまでに成長した。圧倒的な個の力を持つオランダを、総合力でねじ伏せる。20日は会場リンクで最後の調整を行った。

 日本の4選手は、緊張感を漂わせながら最後の氷上練習を行った。19日の1回戦で佐藤がスタートでバランスを崩すミスがあったこともあり、号砲直後の直線の動きを確認。リンク内でコーチを交えて簡単なミーティングを行い、約1時間程度で宿舎に戻った。

 カナダとの準決勝を順当にクリアすれば、決勝は1回戦で日本に0秒48の差をつけ1位突破したオランダとの頂上対決となる可能性が高い。14年ソチ五輪を制したスケート大国は、1500メートル1分52秒台の自己記録を持つ選手を3人そろえ、登録4人中3人が個人種目のメダリストというスター軍団。練習を見つめた日本の湯田淳監督は「個人種目が終わってから、時間をかけて動きを合わせてきている。W杯の時とはまったく違う」とライバルの仕上がりに警戒を強めた。

 圧倒的な「個」の力には、日本の「技術」で対抗する。メダルなしに終わったソチ五輪後、所属の垣根を越えてトップ選手が集うナショナルチームが発足。1年で約300日の練習をともにし、一糸乱れぬ脚の運びや、減速を抑える先頭交代の技術を磨いた。今季3度の世界記録に貢献したエース高木美は「自分たちがパシュートにかけてきた時間はどの国よりも長い」とチーム力への自信を強調した。

 レースは、1500メートルを主戦場とする選手中心のオランダが前半リードし、3000メートルに自信を持つ選手が多い日本が終盤に巻き返す展開となる可能性が高い。ソチ五輪の準決勝で12秒差の屈辱的な大敗を喫した因縁の相手。4年間の成長を証明し、初の頂点へと駆け上がる。【奥山将志】

 ◆1大会で金銀銅全メダルを獲得した日本選手 冬季五輪ではいない。夏季五輪では8人が達成。そのうち7人が体操で、残る1人は16年リオ五輪競泳の萩野公介。体操の小野喬は56年メルボルン、60年ローマ、中山彰規は68年メキシコシティー、72年ミュンヘンの2度も成し遂げた。8人はすべて男子で、冬季と夏季を通じて、1大会で金銀銅すべてのメダルを獲得した女子選手はいない。