ニッカンスポーツ・コム競泳評論家の伊藤華英さん(31)が、リオ五輪で多くのメダルが期待される日本競泳陣の有力選手の泳法を解説する。第1回は男子400メートル個人メドレーで金メダル候補に挙げられる萩野公介(21=東洋大)と瀬戸大也(22=JSS毛呂山)の2選手について聞いた。


 萩野公介

 萩野選手は全ての泳法でそつなく泳ぎます。平泳ぎが少し苦手でしたが、しっかり、手を開いてかけるようになってきました。背泳ぎに関しても軸のぶれない泳ぎになってきた。クロールは滑るような泳ぎが特徴なんですが、背泳ぎでも同じように水面を滑るような抵抗の少ない泳ぎになってきています。

 課題があるとすればバタフライ。入水で1回、フィニッシュで1回キックするんですが、その第2キックが、もう少し軽く、うまく入ればもっと伸びるかなと思います。

 最後のクロールは強いので、そこまで他の選手と差がなくいければ勝てると思います。萩野選手のクロールは呼吸のときも頭の軸がぶれなくて、キックもテンポよく打ってます。入水のときも指先がスッと入るような、抵抗の少ない泳ぎ。そういう選手は疲れてくる終盤、体力を保ったまま最後のタッチまでいける。持ち味のセンスと、鍛えた体力を決勝で出してほしいですね。


 瀬戸大也

 瀬戸選手はバタフライが強い。その意識はすごくあると思います。キック力がある。好調なときはクロールで最後までキックが6ビートで効いています。個人メドレーは最後のクロールが勝負。得意なバタフライで楽にいい位置につけて、背泳ぎで焦らずキックを打ちすぎないで、平泳ぎで周りを見ながらついていって、クロールでキックを効かせて上がってくれば勝ち目はあると思う。そのレースにもっていく努力をすればメダルも期待できるし、萩野選手との対決も見ものです。

 瀬戸選手はメンタリティが前向き、ポジティブです。どんなレースでも「オレはやれるんだ」と向かっていける。そこが強さじゃないですかね。


<男子400メートル個人メドレー>競泳初日の8月6日午後10時(日本時間7日午前10時)過ぎから開始予定。昨年の世界選手権覇者である瀬戸と今季世界最高をマークしている萩野が、そろって表彰台に上がる可能性がある。

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。