世界反ドーピング機関(WADA)は18日、ロシアが2014年ソチ冬季五輪などのドーピング検査で国ぐるみの不正を行っていたとする調査チームの報告を受け、開幕が迫るリオデジャネイロ五輪・パラリンピックでロシア選手団の全面的な出場禁止を検討すべきだと国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)に勧告した。

 声明でリーディー委員長は「クリーンなスポーツを守るため、可能な限り強い措置を適用するよう呼び掛ける」と強調した。IOCは19日、電話による緊急理事会を開いて前回12年ロンドン五輪で金メダル数4位のスポーツ大国の処分について協議。

 ロシアのプーチン大統領は18日に声明を出し、報告の客観性を疑問視し「スポーツへの政治介入」に当たるとして反発した。

 WADAはロシア選手がリオ大会に例外的に出場を許可される場合は、ロシア国旗の下でなく中立的な立場での参加とするべきだとし、リオ大会を含む国際大会からのロシア政府関係者の締め出しも勧告した。

 WADAの調査チームは18日、カナダのトロントで記者会見し、不正はロシアのスポーツ省が監督し、ロシア連邦保安局(FSB)や国内の反ドーピング機関も関与していたと認定。15年までの約4年間で、陽性の可能性のある312検体が、検査手続きを終えないまま陰性とされた。

 リーディー委員長は、13年の世界陸上選手権(モスクワ)などでもスポーツ省が操作を行ったとし「モスクワの検査所で尿検体が分析された全競技が不正の対象だった」と指摘した。