国ぐるみのドーピング問題でロシア陸上チームのリオデジャネイロ五輪出場の道が閉ざされ、今後は国際オリンピック委員会(IOC)が24日に開く緊急理事会で、五輪出場禁止を全競技に拡大するかどうかが最大の焦点となる。全面除外を促す強硬論の一方で慎重な対応を求める声も上がり、難しい対応を迫られる。

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は21日、五輪参加を求めたエレーナ・イシンバエワ選手ら68選手の訴えを退ける裁定を下した。19日の緊急理事会では結論を先送りしたIOCのバッハ会長は、CASの裁定を詳細に調査分析した上で「連帯責任を問うか、個人の権利を重視するか、前例がない難しい決断をしなければならない」と構える。

 メダル上位争いの常連を五輪から締め出そうとする「圧力」は高まっている。世界反ドーピング機関(WADA)元委員長で、ロシア陸上界の組織的ドーピングを調査した第三者委員会の責任者、ディック・パウンド氏(カナダ)は「優柔不断な対応は許されない。五輪のフェアプレー精神が汚されている今こそ、IOCは断固とした行動を取らなければ存在意義を失う」と指摘した。

 柔道や体操などの国際競技連盟から「クリーンな選手個人は出場を認めるべきだ」と全面的な除外に反対する意見も出ている。スポーツ大国が五輪から締め出される事態となれば、歴史に残る汚点。IOCの決断の時が迫っている。