リオデジャネイロ五輪柔道日本代表が27日、パラリンピック代表と合同で都内の講道館で開かれた壮行式に参加した。男子の井上康生監督(38)は、ドーピング問題で揺れたロシア代表男女11選手の出場を国際連盟が認めた裁定を歓迎。ロンドン五輪では最多の金メダルを取った大国を倒してこそ「真価がある」と述べた。6日の大会初日に出番の男子60キロ級の高藤直寿(23)も、ライバル一蹴を宣言した。

 吉報と受け取る発言に、柔道発祥国の誇りがにじんだ。この日までに国際柔道連盟が、ロシア国外での検査で問題がないなどの事実から11人の参加を決定。判断を受けた井上監督は「一柔道家としてクリーンな状態で選手がそろうのはうれしい。前回の五輪で最多の金メダルを取った国がいてこそ真価があるし、勝つことを見せられる」とよどみなく言った。ロンドンでは国・地域別で最も多い3つの金。倒してこそ、だ。

 特に五輪史上初の前回金メダルなしに終わった日本男子は、王者を破っての復活にかける。ロシア勢は全7階級にエントリー。国際大会の成績上位8人に与えられるシード権を持つのは5人に及ぶ。100キロ級にはシード外ながらロンドン覇者のハイブラエフも控える。

 ロシア選手の参戦に、初日に試合がある60キロ級の高藤は「やってやりますよ」と気合十分。14年世界選手権銀メダルのムドラノフとは、同大会で敗れてはいるが、通算では3勝1敗と勝ち越している。昨年12月のグランドスラム東京決勝では鮮やかな一本勝ちで制しており、「むしろ出てきてくれたらやりやすい。一撃でやってやります」と自信満々に、身体能力にすぐれる相手にも強気だった。

 ロンドン五輪後に就任した井上監督は、この日も「全階級での金メダル」を目標に掲げた。高藤も「自分は先鋒(せんぽう)的な役割。勢いにのらせるために金が求められる初日なので、全力で戦い抜く」と呼応した。ロシアに奪われた覇権奪回を胸に、ブラジルに乗り込む。【阿部健吾】