手倉森ジャパンに三禁令のお触れが回った!?

 リオデジャネイロ五輪に出場する男子サッカー日本代表が21日、羽田空港から出発した。手倉森誠監督(48)は日本を飛び立つ直前、選手たちに「寝るな」「イライラするな」「ブランド品持っていくな」の3つの禁止令を出した。すべては心身ともに充実させるため。48年ぶりのメダルを目指し、チームは22日からブラジル・アラカジュで直前合宿に入る。

 ロジカルで、ユーモラスなお達しが、手倉森監督から伝えられた。出発直前「眠いです」が第一声の指揮官は、前夜は眠らずに羽田空港に到着。少し目を赤くしながら言った。

 手倉森監督

 まずは(ブラジルとの)時差。飛行機に乗ったらすぐに寝られるように、今朝まで起きていた。(コンディショニングコーチの)早川さんの指示のもと「寝るな」と選手に言った手前、自分もやってみました。選手も何人か起きていたようだ。

 時差12時間と真逆の生活に慣れるため、まずは不眠状態で航空機に乗り込んだ。直前キャンプ地のアラカジュまでは移動だけで24時間以上の長旅。そして18人の選手によるメダルをかけた戦いが始まる。同監督がチーム力を高める上で、重要視するのがチーム内のムード。そのためにマイナス要素は一掃する。

 手倉森監督

 身内の間でストレスをかけ合わないことが、1つのルールになっている。それは「イライラしないこと」。ネガティブなことは一切言い合わない。やらないといけないこと、とらないといけない行動を予測して、感情をコントロールする。

 23歳以下の血気盛んな若手へのメンタルケアまで余念がない。現地入りをしてからの約2週間で高温多湿の環境に慣れ、国を代表して戦う状態に仕上げていく。危機管理を徹底する同監督からは、まるで修学旅行のしおりにあるような?

 “珍”指令が飛び出る。

 手倉森監督

 「ブランド品を持っていくな」と話している。俺はあえて持っていってない。こういうときに彼らは意外と良いものを持っていくから。リスクマネジメントね。大事なものをなくして、心を揺さぶられる必要はない。俺は持っていかないと、アイデアとして伝えました。

 初戦となる8月4日の1次リーグ・ナイジェリア戦が、リオ五輪に出場する日本勢全競技の中でも1番手になる。その責任と重圧を同監督自らプラスに変える。「一番最初に大会が始まって、一番最後に帰ってくることができればいい」。充血した目をぎらつかせながら、日本を飛び立った。【栗田成芳】