【グラナダ(スペイン)14日=田口潤】競泳のリオデジャネイロ五輪代表の今井月(15=豊川高)が、メダリストの教えを胸に初の五輪に挑む。金メダル候補の萩野公介らとともに標高2320メートルの高地合宿を敢行。チームメートには萩野公介、星奈津美の金メダル候補がいる。ロンドン五輪銅メダリストの寺川綾さんから苦手の背泳ぎのアドバイスをもらった。先月からは2大会連続2冠の北島康介氏を支援する日本コカ・コーラ社と契約。偉大なチームメートと先輩たちの教えを力にする。

 標高2320メートルのスペインの地で過ごして1カ月。真っ黒に日焼けした15歳は心身ともにたくましくなっている。酸素濃度は平地の約4分の3。初の高地合宿で苦しむ選手も多い中、今井は「最初は苦しかったけど、慣れてきた。泳げなくなるくらいきついと思っていたので大丈夫です」と充実の表情を浮かべた。

 ロンドン五輪銅メダルの萩野、星と一緒のプールで練習を続ける。リオで金メダルを狙う2人からは練習での集中力、切り替えの大切さを日々学ぶ。苦手の背泳ぎでは、萩野の手のかきを見習った。テレビの取材で訪れた銅メダリストの寺川さんからは蹴り上げるキックではなく、下に振り下ろすキックを助言された。「意味のある練習ができている」と進化を実感する。

 高校生代表の活躍が心の支えになる。親友の池江は日本記録を連発。1歳上の長谷川は200メートルバタフライで昨年世界選手権銀メダル相当のタイムを出した。「負けないようにと思っています」。日本には戻らずリオに直行する。国内にいる池江からはスシの写真が送られてきた。「ケンカを売ってますよ」と言いながらも刺激し合っている。

 先月から北島氏を長く支援する日本コカ・コーラ社と契約した。高校生とスポンサー企業の契約は異例だが、4年後の東京五輪も控えた期待の表れだ。「コカ・コーラは北島さんのイメージ。北島さんのように成績を出せていけたら」と夢をはせた。同社のチーフ・オリンピック担当・オフィサーに就任した北島氏からも、心技体を学んでいく。

 目標は池江と同じ東京五輪金メダル。実現への近道は、まず今回のリオで自分の実力を発揮すること。「リオで東京につながるようにしたい。日本代表のチーム目標の決勝進出はしっかりクリアしたい」。ものおじしない15歳には不安のかけらもない。