銀メダルの萩野公介(21=東洋大)は、米国のスーパースター、31歳フェルプスと32歳ロクテとの対決を終え「もっといい勝負がしたかったというのが率直な感想。ペレイラ選手、フェルプルスもロクテもいて、こういう最高の場で泳げる喜びをかみしめて泳ごうと思いました」と、ちょっぴり悔しそうに振り返った。

 前回ロンドン大会400メートル個人メドレーでは金メダルのロクテに敗れたが、フェルプスを抜いて銅メダルを獲得した。4年後のこの日。4コースには怪物フェルプス、隣の5コースには1分54秒0の世界記録を持つロクテがいた。「これが1番のメーンレース。楽しみで仕方ない」。胸躍るような感覚だった。

 小学4年でテレビ観戦した04年アテネ大会でフェルプスの6冠達成を見た。中学2年だった08年北京大会では前人未到の8冠を目に焼き付けた。もう1人のスーパースター、五輪金メダル6個のロクテにも憧れた。複数種目への挑戦のきっかけになった2人との再戦を待ち望んでいた。

 競技初日6日の400メートル個人メドレーで悲願の金メダルを獲得した。昨年の右肘骨折や、ライバル瀬戸への苦手意識を克服しての世界の頂点。「まだレースが続く。集中してやっていく」と浮かれることはなかった。200メートル自由形は作戦ミスで7位に終わったが、800メートルリレーでは64年東京大会以来、52年ぶりの銅メダル獲得に貢献した。

 「五輪を6日間通してやってきましたけど、それを通して戦いきる力が全然なかったということだと思う。まあ今、素直に疲れました」。金銀銅、1個ずつのメダルを獲得して2度目の五輪は終わった。