吉田沙保里(33=フリー)の母幸代さん(61)が、娘の健闘をたたえた。

 米国のヘレン・マルーリス(24)に1-4で敗れて五輪4連覇を逃し、悔しい初の銀メダル。14年に亡くなった吉田の父栄勝さん(享年61)の遺影を抱えて見守った幸代さんは、試合後に娘と抱き合って涙。「負けましたけど、立派な銀メダル。娘を誇りに思います。本当に一生懸命やってくれた。私の宝」と涙を流して長女をねぎらった。

 12年ロンドン五輪では代表コーチを務めていた栄勝さんが、いなくなってから初めて迎えた五輪。「今日は主人もずっと、ついていてくれたと思うんですけど…。試合後、娘が私のところに来て『お父さんに怒られる』って。二人三脚で来たので負けはつらいですが『大丈夫、大丈夫、頑張ったよ』と伝えました」。

 母親の目には、衰えは隠せなかったようだ。「ロンドン五輪のあたりから厳しくなってきていた。ラスベガス(昨年の世界選手権米国大会)では体力的に衰えがきているな、と親なりに感じていました。『霊長類最強』と言われても、私の娘です。人間です。負ける時は絶対に来てしまいますが、本当に頑張って素晴らしいことをしてくれた」。

 01年から続いていた個人戦の連勝記録は「206」で途切れたが「主人が教えたタックルを一生懸命やろうとしていた。その努力はすごいな」と感動した。今後については「娘に任せてる。引退するとも何とも気持ちは聞いていないんですが、自分の人生を何らかの形でやり直してもらってもいいな、とは思います」と見守るつもりで話した。