日本記録保持者の大迫傑(28=ナイキ)が、東京オリンピック(五輪)代表へ大きく前進した。自らの日本記録2時間5分50秒を更新する2時間5分29秒でフィニッシュ。日本人トップの4位に入り、五輪代表3枠目の最有力候補になった。8日のびわ湖毎日マラソンで記録を破られなければ、東京五輪代表に内定する。

スタート時は気温約12度。ナイキの新厚底シューズ「エアズームアルファフライネクスト%」を履いた大迫はその中で、スタートから2時間3分台を狙う先頭集団で果敢に攻めた。集団の中でも前の方で戦った。中間点も1時間2分1秒で通過の超ハイペース。中間点を超えると、大迫が先頭集団から離れた。先頭集団の背中は遠くなった。井上大仁とは大きく離れた。

しかし、そこから粘った。難しい単独走でも、32キロすぎ、井上を含む集団に追いついた。32・7キロで井上の顔色をうかがった。苦しそうな表情を見ると、集団を引き離した。

MGCでは2位の服部勇馬とは5秒差で、五輪の代表内定を逃した。自信はあった。それなのに、まさかの3位。足りなかった。残りの選考レースで自らの日本記録を破られなければ、のちに五輪切符をつかめる可能性はあった。

しかし、待つことはせず、東京マラソン参戦を決めた。自分を変えるために、今までにない挑戦に挑んだ。約2カ月半のケニア合宿。標高約2300メートルの高地で、ケニア人のランナーと一緒に練習した。「彼より質の高い練習ができるんだと自信になった」。新たな刺激を受けて、成長を遂げた。

自らの力で、東京五輪の代表にも大きく前進した。