国際オリンピック委員会(IOC)が26日(日本時間27日未明)、全IOC委員や各国際競技連盟(IF)との電話、テレビによる臨時会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった東京五輪への意見交換を行った。IOC委員、国際体操連盟(FIG)会長の立場で、計5時間に迫る両会議に出席した渡辺守成氏(61)が日刊スポーツの取材に応じ、延期した五輪の開催日程について各競技の予選会の実施を考えると「現実問題、7、8月の開催になるのではないか」と述べた。

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日本時間の26日深夜からIOC委員の会議に約2時間50分、27日未明にはIF対象の会議に約2時間、電話会議で参加した渡辺氏。取材に応じた際は「ほぼ寝てません」と疲労感をにじませながらも、2つの重要な会議内容について説明した。

IOCバッハ会長が春開催も検討課題の1つと明言する中、この日のIF会議でも少数のIFが酷暑を避けるため、春開催を望んだという。

新型コロナウイルスの影響をできるだけ避けるためから9、10月を提案するIFもあった。一方で、セーリングなど海で実施するIFは台風が来る晩夏は避けたいと主張した。

さまざまな意見が出る中で、渡辺氏も「暑さ対策として春にやりたいと思うのは自然」と話す一方で、21年夏開催が現実的との見方を示した。実際、来夏の開催が軸とされる中で、ほとんどのIFが開催時期について言及しなかったという。

「世界的に見ても、今年いっぱいから来年の初めまで、競技会場は埋まっていて取れない。その後から各競技の予選を始めて、春に五輪を開催するのは厳しいと思う」。春開催にすれば、予選会の後、選手が調整期間を置かずに五輪本番を迎えたり、十分な予選会が行えない競技団体も出てくるリスクも発生する。

一方で、大会組織委員会理事の立場からは「組織委やスポンサーは、できるだけ早い時期での開催の方が経費負担を抑えられる」と語る。24年パリ五輪との兼ね合いも指摘。「東京五輪が延びるほど、パリ五輪のスポンサー獲得に影響が出る」。

バッハ氏も延期計画を「大きなパズル」と表現した。渡辺氏によると先日、IOCと実務者協議が行われた中で、FIGの事務方が「本当のところ、開催時期はいつなんだ」と聞くと、IOC側は「本当に分からない」と答えたという。数え切れない利害関係者との調整は難航しそうだが、IOCは新たな開催日程について3週間前後をめどに決定する方針だ。【三須一紀】