日本オリンピック委員会(JOC)の山口香理事(56)が4日、取材に応じ、森会長を巡る今回の事態について、問題点を突いた。

五輪・パラリンピックをめぐる国民の方々の反感は大きいですが、この国民感情は、コロナのためだけではないと感じてます。その1つに今回のような発言があるのかなと感じざるを得ません。気になったのは、昨日の発言の「わきまえている」です。国民も「わきまえろ」と言われているように感じるのでは。いまの政治スタイルにも重なります。議論もせずに「わきまえて行動して」と上から言われている印象があるのだと思います。

3日の発言の場はJOCの臨時評議員会でした。国の指針で進めているガバナンスコードが念頭にあったと思います。現在20%の女性理事の割合を40%以上にすることが目標で、それに対して「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」と発言されたと受け止めています。であるならば、もしJOCが異議を唱えなかったとしたら、発言を是認したことになる。容認できませんという公式なコメント、立場を明確にすべきで、それが日本のスポーツ、五輪パラリンピック、ひいてはアスリートを守ることになる。

そもそもガバナンスコードができたのは、今回に透ける構造を打破するためです。上に対して物が言えない、悪いことを悪いと言えない、先輩後輩、年功序列…。この現状を打破する気概をスポーツ界も持たないと、ガバナンスコードは絵に描いた餅になります。声の大きい人、怖い人には物が言えません、と。それが不祥事の温床ですよね。

どんなにスポーツの力や価値などもっともらしいことを言っても、国民にそれが響かなくなる。私は価値はあると思う。私自身は柔道で培ったのは、相手がたとえどんなに強いと思っても立ち向かっていく、その精神です。アスリートがそれを実現してくれているわけだから、それを私たちもなんとか支え、信用、信頼を回復できるようにやっていきたいと思います。