東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長が21日、都内で会見し、観客上限を決断する最終時期について6月も選択肢に含まれる考えを示した。東京に緊急事態宣言が発出される見込みから「適切な判断をするには時間がかかる」と理由を語った。

4月中に方向性を示す観客上限について政府や組織委は「上限50%」、大きな競技会場では「上限50%+個別の上限規制」「無観客」などのパターンを検討している。ある組織委幹部は「50%以上はもうない」と話した。

再抽選をする場合、新たに開発した再抽選システムの稼働や紙チケットの再発行・郵送など運営面で多くの課題が発生し、準備に時間がかかる。そのため組織委関係者は「再抽選を始めるなら5月中がタイムリミットだ」と明かした。

今回、組織委が判断時期について6月にずれ込む可能性を示唆したのはできるだけ判断を先送りし、感染状況が好転するのを期待して無観客を避けたい思惑がある。感染状況が悪化する現状で判断しては無観客の可能性が高まるからだ。しかし、別の組織委幹部は「直前に決めるのはホテルなどを予約している観客にも失礼だし、宿泊業界や大会運営関係者に多大な迷惑をかける」と批判した。