関大は26日、同大学の宮本勝浩名誉教授(76)が推定した東京五輪・パラリンピックの経済効果と赤字額を発表した。経済効果は約6兆1442億円、東京五輪・パラリンピック組織委員会や東京都、国の赤字(歳出超過額)の総額は約2兆3713億円となった。

新型コロナウイルスの影響で1年延期となり、ほぼ無観客となったことで、経済効果は当初の計画よりも大幅に減少。一方で自宅観戦によりテレビやエアコンは売れ、デリバリーサービスが増加している側面もあるという。

同名誉教授は「大会の開催に賛成とか反対とかの感情的な立場にたって分析したものではなく、責任のある機関が公に発表した金額、数値に基づいて客観的に計算したものである。経費のマイナス面だけではなく、大会の歳出増加による税収や経済効果をも計算し、それに基づく消費や税収の増加分などのプラスの面も考慮して分析した。大会の開催に努力された関係者の方々のご尽力に敬意を表すと同時に、これまでの努力の積み重ねを精いっぱい発揮されたアスリートの方々をたたえたい」とコメントした。

報告書によると、分析結果は以下の通り。

〈1〉東京五輪・パラリンピックの経済効果は約6兆1442億円であり、このうち大会開催前に新国立競技場、選手村、仮設施設の建設、大会関係交通インフラ整備費、バリアフリー対策費などで約3兆2698億円の経済効果がすでに発生していると考えられる。したがって、大会開始後の経済効果は、開催期間中の消費の効果と大会後のレガシー効果を合わせて約2兆8744億円になる。

〈2〉東京五輪・パラリンピック組織委員会の赤字額は約900億円となる。

〈3〉東京都の税収を上回る赤字額は約1兆4077億円となる。これは国の赤字額を上回っている。そして、同組織委員会の赤字額約900億円を補てんすることになれば、約1兆4977億円の赤字となる。

〈4〉国の赤字額は約8736億円となる。

〈5〉組織委員会、東京都と国の赤字の総額は約2兆3713億円となる。