16年リオデジャネイロ大会銅メダルで世界ランク3位の日本が、3連覇を狙っていた同1位のオーストラリアを下し、2大会連続の銅メダルを獲得した。

日本は前半の第1ピリオド(P)から得意の「好守速攻」を展開。反則により数的不利な場面でも、スピードを生かした攻撃でエースの池崎大輔(43)らがトライ。第2Pも攻撃的な攻防で気持ちの入ったプレーを連発。前半を30-25で折り返した。後半はさらにアクセル全開。それぞれが役割を遂行し、相手のミスを誘発して点差を広げた。第4Pも主導権を握り、8点差で完勝した。

準決勝の涙の敗戦から一夜明け、最後は意地を見せた。28日の準決勝では、同4位の英国の激しい圧力を受け、パスミスなどで失点。終始主導権を握られ、日本らしいプレーができず49-55で完敗した。

3位決定戦の相手は、因縁のオーストラリア。前大会準決勝で敗れ、悲願の金メダルへの道を閉ざされた宿敵だ。日本は今大会で5年前の雪辱を果たし、1次リーグに続き3位決定戦も勝利。進化を証明した。

17年に就任した米国人のケビン・オアー監督は「チームプレー」を徹底した。前大会は障害の軽い「ハイポインター」の池透暢主将(41)と池崎の“イケイケコンビ”に頼る個人技の戦術だったが、今大会は勝負どころの流れを見極めて障害の重い「ローポインター」の“守備職人”こと倉橋香衣(かえ、30)や長谷川勇基(28)らを起用した。派手さはないが、素早い判断で相手を食い止め、仲間たちの進路を空けて池崎らのトライをサポートした。次世代のエース、橋本勝也(19)も重要な局面で出場し、24年パリ大会につながる経験値を積んだ。

金メダルは逃したが、12人の桜の戦士とスタッフらが目指していた「ONE TEAM」となって戦った。涙の敗戦から一夜明け、最後の大勝負は笑顔で終えた。【峯岸佑樹】

◆車いすラグビー 「ウィルチェアラグビー」とも呼ばれる。バレーボール球に似た専用球を投げ、ドリブル、転がすなどして前にボールを運ぶ。車いすの前後4輪のうち2輪がゴールラインを通過するとトライとなる。男女混合競技で、車いすを激突するなど攻守を阻止するタックルが認められている。選手の障害レベルは0・5点から3・5点まで7段階に分けられ、プレーする4人の合計は8・0点以内で編成する。