新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック（五輪）・パラリンピック大会組織委員会が、聖火リレーを実施する最初の3県で、沿道観覧の自粛を要請する方向で最終調整していることが15日、複数の関係者への取材で分かった。

26日にスタートする福島、2番目の栃木、3番目の群馬で行われるリレーで自粛を求める方針。さらに6番目の愛知まで要請するかも、検討している。福島・Jヴィレッジでの出発式を無観客で行うことも近く発表する方向で最終調整している。

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新型コロナの影響は、五輪本番へ全国の機運を盛り上げる聖火リレー本体にまで水を差した。復興五輪の象徴となるスタートの福島では26日、Jヴィレッジを出発し、東京電力福島第1原発事故の影響を強く受けた双葉郡を中心に回る。徐々にではあるが復興が進みつつある地元には、避難先から帰還した人もいる。聖火リレーを楽しみにしている住民もいるはずだが、沿道観覧の自粛要請で、それも難しくなる。福島の日程は他県より多い3日間。浜通り、中通り、会津と東西に長い県をくまなく回る。

2番目の栃木は29、30日の2日間。世界遺産の日光東照宮などを走る。3番目の群馬は31日、4月1日の日程で、同じく世界遺産の富岡製糸場、草津温泉などをリレーする。

組織委はさらに4番目の長野（同2、3日）、5番目の岐阜（同4、5日）、6番目の愛知（同6、7日）でも自粛要請するかを検討している。新型コロナに対する聖火リレーの基本方針では、遅くともリレー実施の1週間前には運営方針を発表する。

12日に採火式を実施したギリシャでは13日、スパルタ市で行われた米俳優のリレーに報道陣や観客が殺到したため、同国オリンピック委員会が国内聖火リレーを中止していた。11年サッカー女子W杯ドイツ大会で優勝した「なでしこジャパン」メンバーが第1走者として走るJヴィレッジでの出発式も、一般客が入場できない無観客で行われる方向で最終調整している。

＜福島行程＞

（1）26日　楢葉町→広野町→いわき市→川内村→富岡町→大熊町→葛尾村→浪江町→南相馬市

（2）27日　相馬市→新地町→飯舘村→川俣町→福島市→猪苗代町→喜多方市→三島町→会津若松市

（3）28日　南会津町→下郷町→白河市→須賀川市→田村市→本宮市→郡山市

＜栃木行程＞

（1）29日　足利市→佐野市→小山市→茂木町→栃木市→上三川町→真岡市→那須烏山市

（2）30日　那須町→さくら市→益子町→那須塩原市→壬生町→日光市→鹿沼市→宇都宮市

＜群馬行程＞

（1）31日　館林市→大泉町→太田市→上野村→桐生市→伊勢崎市→前橋市

（2）1日　渋川市→沼田市→川場村→草津町→長野原町→藤岡市→富岡市→高崎市

◆福島県の聖火リレー　聖火リレーは3月26日に福島県「Jヴィレッジ」（楢葉・広野町）の9番ピッチからスタート。グランドスタートの聖火ランナーは、11年サッカー女子W杯ドイツ大会で優勝した「なでしこジャパン」が務める。TOKIOは南相馬市、映画「フラガール」に出演した南海キャンディーズのしずちゃんはいわき市、東京五輪男子マラソン銅メダリスト故円谷幸吉さんの親友で、メキシコ五輪銀メダリスト君原健二さんは円谷さんの生まれ故郷・須賀川市を走る。双葉町出身の声優兼女優桜庭梨那は「帰還困難区域」の避難指示が一部解除されたばかりの故郷・双葉町を走る予定。