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天国から地獄…谷繁満塁弾悔し <日本シリーズ:西武10−8中日>◇第3戦◇19日◇西武ドーム ヒーローになり損ねた。「ハハハッ…」。ロッカーから帰りのバスに向かう谷繁は疲れた笑いを浮かべていた。打席と捕手のポジションで体験した4度の満塁の場面。天国と地獄が待っていた。 一時はチームをよみがえらせた。6回。3点差に迫り、なお1死満塁。谷繁の打球はドラゴンズブルーに染まった左翼席真ん中に消えていった。着弾を確認する前に右手を突き上げていた。今シリーズ第1号が、シリーズ史上初の逆転満塁弾。カウント1―3から内角直球だけを待っていた。制球に苦しむ西武2番手長田の心理を読みきっての一撃だった。一塁をまわったところで「よっしゃあ!」とほえた。捕手という職業柄、グラウンドでは感情を押し殺す男が珍しく興奮していた。 だがその直後、今度は谷繁のバットがため息を呼ぶことになった。6―4と突き放した7回1死満塁。低めのボール球に手を出して捕ゴロ併殺。「ボールだと思ってバットを止めようと思ったんだけど、当たってしまった。あそこで1点でも入っていれば岡本ももっと楽に投げられたと思う」。今季、リーグ規定打席到達者の中では下から2番目の打率2割6分。だが得点圏打率は2割9分8厘。勝負強さが最も発揮される満塁に笑い、そして泣いた。 その裏に2番手岡本が2度も満塁のピンチを作り、そして西武に逆転を許した…。「ボクのミスです。うちらしくない試合になってしまった」。最強投手陣を支える司令塔は自分を責めた。それでも西武ドームの長い階段を上る途中、うつむいていた顔を上げた。「もう切り替えるしかないでしょう!」。戦いは続く。谷繁の気持ちは第4戦へと切り替わっていた。【鈴木忠平】
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