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和田の一発が松坂を変えた/山田のこだわり


 伊東監督がマウンドの松坂の元に足を運んだ。続投か、交代か―。「ここが勝負の分かれ目になる」。そういったのは、ネット裏でみていた山田久志(日刊スポーツ評論家)。西武2点のリード。8回裏2死一、二塁。一塁側から打席に入ろうとした谷繁を制するかのように、レオの指揮官はベンチを出た。

 山田 おれなら(松坂を)代えていた。松坂に賭ける? 勝負はそんな甘いものじゃない。負けられない西武は、この試合のこの局面を抑えれば勝てる。私なら最善の策をとるべきと考えた。松坂もあの場面で代えられても納得しただろう。それに、本心としては伊東監督もスイッチしたかったはずだ。なぜなら、投手交代に踏み切るべき条件はすべそろっている。

 8回の場面で、山田が指摘した「松坂交代」への条件とは、(1)2つの四球を出してピンチを迎えた(2)一発の可能性(3)谷繁の勝負強さ―この3点だった。しかし伊東監督が選択したのは『続投』だった。結果は松坂が谷繁をボテボテの二ゴロに抑える。

 山田 谷繁はこのシリーズの攻守のキーマンになる選手だ。この日は、松坂の投球にタイミングがぴったり合っていたし、心理的にも自信を深めていたはずだ。そこを伊東監督はあえて「続投」というカードを選んだ。松坂に賭けたということではない。西武にとってこのシリーズは中継ぎで成功した例が少ない。もう1枚、絶対的な信頼を置ける中継ぎが控えていればいいが、伊東監督にすれば松坂に賭けたというより、打つ手がなかったというのが本音ではなかったか。もう途中から「松坂―豊田」の継投を決めていたのだろう。

 松坂は序盤から本調子ではなかった。初回に援護をもらいながら、2回に同点、4回に勝ち越しを許した。逆球が多く、ストライクとボールの区別がはっきりしていた。ただ、6回表に和田の2ランが飛び出したその裏から、わずかな“変化”が生じた。

 山田 球持ちが悪く、決して良くなかった。松坂には華を感じるからつい辛口になるが、序盤は並の投手にみえた。でも投手族というのは、ちょっとした気持ちの変化でボールも変わる。和田の一発で「よしっ、ここまで来たら」という気持ちになっただろう。逆転してもらって重圧に押しつぶされる投手もいる。でも試合の波に乗れるのは松坂の非凡なところだ。もっとファンをうならせる投手になってほしい。第7戦は、先発投手が長く投げた方に分があるとみる。

 【構成=寺尾博和編集委員】


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