引退も覚悟した巨人オコエ瑠偉 現役ドラフトで拾われた故郷・東京での奮闘
かつての甲子園スターが、プロの舞台で苦しんでいました。15年夏の甲子園、関東第一(東東京)のリードオフマンとして聖地を沸かせたオコエ瑠偉外野手(26)。ドラフト1位で楽天に入団した輝かしいキャリアの裏で、苦しむ姿がありました。一時は野球から離れる覚悟をした男が、現役ドラフトで拾ってもらった故郷の新天地で、奮闘した1年間を振り返ります。
プロ野球
◆オコエ瑠偉(るい)1997年(平9)7月21日生まれ、東京・東村山市出身。ナイジェリア人の父が、サッカー選手になってほしいとの願いからラモス瑠偉(サッカー元日本代表)の「瑠偉」と名付けた。関東第一では15年夏の甲子園4強。15年ドラフト1位で楽天入団。昨年の現役ドラフトで巨人に移籍。今季は41試合に出場し、打率2割3分5厘、2本塁打、6打点。プロ通算277試合で打率2割2分2厘、11本塁打、50打点。185センチ、90キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸850万円。
野球を辞める覚悟はできていた。ちょうど1年前。楽天での最終年となった22年シーズン、出場はわずか6試合にとどまった。
身体も心も言うことを聞かず、野球に集中できる状態ではなかった。仙台の自宅も引き払い「引退」の2文字が頭をよぎった。
運命を変えたのが昨年から始まった現役ドラフトだった。楽天から巨人に入団することが決定。東京生まれでジャイアンツジュニアにも所属していたオコエは「奇跡の連続でジャイアンツに来られた。決まったときは『まだ野球ができる』と思ってうれしかった」と故郷凱旋(がいせん)を表現する。諦めかけていたグラウンドで再び戦う決意を決めた。
かつてはひと夏を沸かせた甲子園のスターだ。15年夏の甲子園。走塁に守備に打撃に、類いまれな身体能力で聖地を熱狂させた。高い期待を背負って、ドラフト1位で入団した楽天では、1軍に定着できなかった。
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