人間力が違います! 今回の「ビューティフル・ボートレース」は、「テラッチ」の愛称で親しまれる寺田千恵(48=岡山)をピックアップ。史上初めて女子でSG競走のファイナリストになったパイオニア。夫婦レーサーの私生活、後輩らに絶大な信頼を得る「神対応」の秘訣(ひけつ)や素顔に迫る。

女子レーサーのパイオニアとして現在も第一線で活躍する寺田千恵
女子レーサーのパイオニアとして現在も第一線で活躍する寺田千恵

 -89年11月のデビューから、約28年です

 寺田 最初、選手になったら厳しい世界だった。プロなので。3年でクビになると思ってましたから。

 -00年にSG初出場、01年には女子史上初のSG優出(5着)の快挙

 寺田 エンジンがけた違いに良かった。実力以上にやれそうな気がして怖かった。でも、男性の意地みたいなのは感じました。

 -02年に同じ選手の立間充宏さんと結婚

 寺田 SGに行くようになったころに付き合いだしたと思う。女子1人でSGに行くことがあって、だんだんしんどくなる。「楽しんでおいでよ」と言われたのを覚えてる。

 -立間さんは6歳年下。当時のギャップは

 寺田 年が違うし、相手が飽きるというか長く想ってもらえると思ってなかった。私の姉は「みっちゃん(立間)、勇気あるよね」と言ってました。(年齢差、当時の立場から)普通、声はかけにくいですよね。

 -結婚後、岡山県へ

 寺田 主人の親と同居。お父さんもお母さんも気さくで、嫁というか、もうひとり手のかかる娘が来た感じ。そう扱って頂ける。うまくやらせて頂いてます。

 -家庭との両立は

 寺田 家にいるときは担当制。仕事のことは主人、家事は私。仕事の話は結構する方。いろいろな夫婦の形があるけど、話ができるのはいいこと。情報源がもうひとつあるんだから。

北海道への家族旅行で気球に乗る、左から寺田千恵、長女・桐子(とうこ)さん、夫・立間充宏
北海道への家族旅行で気球に乗る、左から寺田千恵、長女・桐子(とうこ)さん、夫・立間充宏

 -休日は

 寺田 ゴルフが大好き。ほぼ夫婦で行きます。その間に、いろいろ話はする。だって5時間ぐらいあるから。あと家にいるときぐらいは娘を迎えに行って、話を聞いてあげたい。

 -スコアは

 寺田 ベストは86とか。でも、だいたいは100切ったぜ! みたいな。立間さん? 少し上手。私が食らいつきながらちょうどいい感じ。

休日は夫婦仲良く趣味のゴルフ
休日は夫婦仲良く趣味のゴルフ

 -昔と今の女子レースの違いは

 寺田 当時は大変だと思ってましたよね。でも、今は男子と見劣りしないレースをする子が増えました。それに「女子が…」というのも流行らない。そういう時代になってると思う。

 -女子人気は

 寺田 うれしいですよ。女子目線で言わせてもらえるなら、注目度は高いし、いい環境にある。私より、もっと厳しい時代に先輩が築いてくれたものが、順送りになって今がある。

 -後輩に神と言われる

 寺田 アハハ、そんな態度か、みんな(笑い)。私もあまり分かってないし、アドバイスというのもおこがましい。あまり言うと自立心もなくなるから。でも、後輩のレースはある程度チェックはしてますよ。

 -レースの魅力は

 寺田 やる方としては喜怒哀楽、スリル、達成感。いろんな感情に刺激がある。やるほど奥の深い競技だと思う。現場で見てもらえる人なら音、スピード感、アグレッシブなところが面白さだと思う。

※次回は9月12日更新予定

 ◆寺田千恵(てらだ・ちえ)1969年(昭44)4月11日、福岡県生まれ。65期生として89年11月の若松でデビュー、5走目で初勝利。94年12月の宮島女子リーグで初優勝。G1レディースチャンピオン優勝2回、SG優出1回。通算優勝62回。産休後、28期(14年)連続A1級継続中。昨年の獲得賞金は2956万6000円、今年は1952万5400円(7日現在)。157センチ、46キロ、血液型O。