女子ボートレーサーの魅力に迫る「ビューティフル・ボートレース」。今回は中村かなえ(25=東京)を紹介する。お茶の水女子大理学部で化学を学び、大学院の研究員というエリート“リケジョ”まっしぐらの道から、ボートレーサーへ大転身。持ち前の集中力と負けん気を前面に押し出し、トップレーサーを目指す。

理系エリート街道からボートレース界へ飛び込んだ中村かなえ
理系エリート街道からボートレース界へ飛び込んだ中村かなえ

-「リケジョの聖地」といわれるお茶の水女子大理学部の大学院に通いながら、レーサーへ転身しました

中村かなえ 大学院の先輩が就職情報誌を見て、今からでもレーサーになれることを教えてくれたんです。

-ボートレースは身近にあった

中村 小さい頃、母と江戸川の土手から見たことがありました。爆音と激しく水しぶきが上がる迫力に魅力を感じて、母に『大人になったらああいう人になる』って話していたのです。それから見る機会はなかったのに、ずっと憧れがあった。友達や先輩にも「好きなスポーツはボートレース」と公言していました。

お茶の水女子大の卒業式で記念撮影
お茶の水女子大の卒業式で記念撮影

-大学院まで進んだ化学の研究に未練はなかった

中村 勉強は好きだったけど、自分に向いているのはこれだと。やっていた水泳や勉強でも競い合って1等になることが好きだったし、自分の集中力や負けん気が生かせる仕事だと思ったんです。

-両親の反対はなかった

中村 母は「あら、すごいわね」と言ってくれたし、父は絶句したけど「自分で決めたんだろ」って認めてくれました。世界一寛容な親です(笑い)。だからボートレーサー養成所の修了記念競走で母や姉の前で1着を取れた時は、本当にうれしかったです。

-レーサーになってみて

中村 なかなか1着は取らせてもらえないけど楽しい。自分で展開を作って、ファンに喜んでもらえるようなレースをしたい。

-理系的な思考能力は役立っている

中村 レースに曖昧に向き合うことはないと思います。特にスタートにはこだわってます。機力、レース場や日々の風や気温で変わる水面コンディションを考えて走ります。考える力と集中力は大事だと思ってます。

ソフトテニスを楽しむ(右)
ソフトテニスを楽しむ(右)

-レースと訓練を重ねる日々が続くがオフは

中村 海外旅行や中学から続けているソフトテニス、スノーボードを楽しんでます。海外は姉と行ったアイスランドの自然が良かった。

姉とアイスランド観光(右)
姉とアイスランド観光(右)

-好きな男性のタイプは

中村 好きなことに熱中して、頑張る人が好きですね。身近で頑張っている先輩レーサーもすてきです。

-最後にボートレースの魅力とは

中村 ただ、くるくる回っているだけじゃない。レースの奥深さですね。レースの中で駆け引きがあったり、攻防があったり、1着を取るまでの過程が面白い。それを知ってもらうためにもぜひ、レース場に足を運んでみてほしいですね。

※次回は3月12日更新予定

◆中村(なかむら)かなえ 1993年(平5)9月4日、東京都墨田区生まれ。都立駒場高-お茶の水女子大理学部卒業、大学院を経て121期として17年11月平和島でデビュー。昨年の獲得賞金は539万2000円。161センチ、45キロ、血液型A。