優勝戦12Rの1億円バトルは予想だにしない大波乱の展開となった。
1Mは1番人気を集めた峰竜太(36=佐賀)がターンマークに接触して転覆(妨害失格)。丸野一樹(30=滋賀)、平本真之(37=愛知)、毒島誠(37=群馬)の3人があおりを食って転覆失格となった。
完走したのは瓜生正義(45=福岡)と白井英治(45=山口)の2艇だけとなり3連単、3連複は不成立。総発売額42億7752万6800円のうち、41億1426万3700円が返還となった。優勝は3コースからまくった瓜生で、19年7月オーシャンカップ以来、通算11度目のSG優勝を飾った。グランプリは16年の31回大会以来のV。
まさかの大アクシデントが発生した。レースの進入は1245・36の4対2。ピンと張り詰めた緊張感の中、4コースの白井英治がスリット先行。しかし、それを止めた瓜生正義が3コースから目の覚めるようなツケマイを放った。
瓜生の攻めが決まった瞬間、少し反応が遅れた峰竜太が、インからわずかなスペースを狙って応戦しようとした。しかし、態勢不利の焦りもあり、ターンマークに激突。「迷惑をかけました。油断したわけではないが、瓜生(正義)さんがうまかった。ターンマークにぶつかる前にまくられてました」。圧倒的な人気を背負った最強レーサーの転覆に、場内からは大きな悲鳴が上がった。
さらには、ハイスピードで切り込んだ丸野一樹、平本真之、毒島誠も避けきれず、3艇いずれも転覆。あまりの大惨事に、ファンの悲鳴は静寂に変わった。峰は妨害失格と判定され、連覇の夢はついえた。
レース前から不穏な空気はあった。例年のグランプリ優勝戦でも進入争いはあるが、今年は雰囲気が違った。最終日9R後に行われたスタート練習で、白井英治が3本ともスローに潜り込み、70~80メートルの起こし位置に陣取った。スタート展示でも前付けし、頂点取りへ強い意志を示した。
ライバルに楽な進入を許さない心理的な揺さぶりが、レースに与えた影響もあったのか…。ボート界の頂点を決める大一番は、2艇しかゴールできない前代未聞の結果で幕を閉じた。