【帰ってきた山口国男ガイダンスコーナー】(10)

 いやあ、決勝、残念です! ドリームレース同様に裏目。先行する村上ラインを狙い、稲垣、岩津、中村を組み合わせるまでは正解だったのに、順番が狂いました。予想は外れましたが、参考にしていただけたでしょうか。

 通算回収率も、100%まであとわずかの96.6%。この無念は、いつか必ず晴らしてみせますよ。

 でも、オールスター5日間、楽しめました。あっという間でしたね。松戸競輪場は若い人も多く詰め掛け、とても盛り上がっていたのですが、今回の売り上げは目標の115億円に遠く及ばない107億円。残念な結果です。せっかくの、お盆開催だったのに…。私なりに、その背景を探ってみました。

【1】まずは、お盆にこだわった日程です。競輪の売り上げを支える年金生活者にとって、年金支給日(8月15日)が最終日では厳しかったのかな。そうかといって15~19日にしていたら、お盆のイメージが薄れるし、全て平日で働いているファンが買いづらい。来年のオールスター(いわき平)も同じ8月11~15日の開催ですから、何か工夫が必要でしょう。

【2】決勝の予想の中で書いたように、最近のレースは、ほとんどが「競輪」ではなく「ケイリン」。今回のオールスターも4分戦が圧倒的に多く、単騎が1人いての5分戦も珍しくありません。こういうのは買い目を絞りづらいんですよ。14日の準決3レースのように、ライン3人でガンガン先行してくれる方が、金額をかけて勝負しやすい。そういうチャンスが最近のファンには、特にグレードレースでは、あまり与えられていません。関係者から聞いたのですが、今回のオールスターの初日、松戸競輪場には5000人が入場したそうです。5000人といえば、私の感覚では1億円から2億円は売れたと思えました。しかし、実際は8000万円。G1開催地で平均が1人1万6000円というのは、何とも寂しい数字に感じます。明らかに購買単価が下がっている。その原因は、勝負しづらい細切れ戦にあることに間違いありません。3分戦がいいなあ。とはいえ、すぐに細切れ戦をやめるのは難しいでしょうね。売れているミッドナイト競輪、ガールズケイリンのように7車立てにするとか、対応を考えるべきではないでしょうか。

【3】最近、分かりづらい選手コメントが流行しているのが気になります。「決めずに」といのは、やめた方がいい。ファンに対して不親切です。せめて、以前よく聞かれた「○○ラインから」「○○の後ろで様子を見る」などと答えられないんですかね。今の車券の主流は3連単です。3連単は買い目を絞りづらい。だから、ファンに少しでも買い目を絞らせてあげるコメントを、出してほしいです。他の選手に作戦を明かしたくない、という気持ちは分かりますが、それはファンを無視することにもなりかねないので。

 というわけで、10日間にわたってお付き合いくださり、ありがとうございました。これで店じまいとなりますが、私の競輪人生はまだまだ続きます。またどこかで、お会いできると思いますよ。その日まで、どうか存分に競輪を楽しんでいてください。(おわり)

 ◆山口国男(やまぐち・くにお)1950年(昭25)8月11日生まれ。東京都荒川区出身。日本競輪学校24期生、松戸をホームバンクとする東京登録選手として67年にデビュー。特別競輪(現G1)優勝こそ果たせなかったが、72年・高松宮杯と73年・競輪祭で決勝3着に入るなど、トップレーサーとして一時代を築いた。フラワーラインの司令塔としても活躍。01年の引退後、松戸競輪場で競輪ガイダンスコーナーの講師を務め、15年オールスターを最後に定年退職。