【ヤマコウ観戦記】

 オールスター競輪は岩津裕介の優勝で幕を閉じた。準決は稲垣裕之のまくりを差せなかったが、決勝は差して優勝。運も持っている。番手層の薄い地区の選手らしく、ゲリラ戦を得意としているが、最近は若手の先行選手がたくさん育ってきている。番手の仕事もこなせるだけに、今後も活躍を期待したい。

 そして、またもや涙をのんだ稲垣。私も、番手を回りながら何回も準優勝を経験した。取れる展開でも優勝を逃してきただけに「俺には取る力はないのか」と思い続けたが、まさかのGP優勝を手にした。

 「俺の舞台はここだったのか」と思う日が必ず来る。それまで、刀を磨いて頑張ってほしい。

 木暮安由にひと言。彼の持ち味はしなやかで変幻自在な走り。関東という呪縛に縛られて、持ち味が出なかった。何のために平原康多や武田豊樹の前で頑張ってきたのか、もう一度考えてほしい。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)