優勝した郡司浩平(撮影・栗田文人)
優勝した郡司浩平(撮影・栗田文人)

5~7日の川崎競輪は地元のエース郡司浩平の優勝で幕を閉じた。前前に踏んでおいて、単騎でカマしてきた飯田憲司を出させて、2角からまくりで逆転する鮮やかな勝利だった。不完全燃焼に終わった競輪祭の鬱憤(うっぷん)を晴らした形だ。来年こそG1初制覇を期待したい。

準決で1着同着を決めた郡司浩平(右)と中村浩士(撮影・栗田文人)
準決で1着同着を決めた郡司浩平(右)と中村浩士(撮影・栗田文人)

実は今開催は千葉市の代替開催だった。2着にはその千葉で支部長を務める中村浩士が入った。連日、堅実なヨコのさばきと鋭いタテ足を披露。決勝も3番手からの中割り強襲で、頭まで突き抜けてもおかしくない勢いだった。人格も素晴らしく、こちらも来年はぜひ初タイトルを取って欲しい選手だ。

準優勝の中村浩士(撮影・栗田文人)
準優勝の中村浩士(撮影・栗田文人)

野原雅也が3着に入った。9月共同通信社杯(高知)初日のゴール後に落車し、左鎖骨、肋骨(ろっこつ)を骨折し、今開催が約3カ月ぶりの復帰戦だった。郡司をまくり切るところまではいかなかったが、先着の2人に迫った足は復調を感じさせるには十分だった。こちらも今後、右肩上がりに調子を上げてくるはずだ。

決勝3着の野原雅也(撮影・栗田文人)
決勝3着の野原雅也(撮影・栗田文人)

ちなみに、ゴール直後というのは一気に気が抜ける瞬間で、ここでの落車は意外と重傷につながることが多い。選手の皆さん、十分気をつけてくださいね。

ガールズ決勝は奥井迪が、ガールズグランプリに出走する石井貴子(千葉)以下を圧倒して優勝。「今年はガールズグランプリに出られず悔しい思いをした。来年(地元)立川で行われるグランプリ出場を目指して頑張りたい」とモチベーションは高い。ファンの人気も高い選手で、来年は再びセンターで脚光を浴びているに違いない。

ガールズ決勝は奥井迪が圧勝(撮影・栗田文人)
ガールズ決勝は奥井迪が圧勝(撮影・栗田文人)

さて、この開催の取材のため、JR川崎駅前からファンと一緒に無料バスに乗っていたところ、車内で70代と80代とおぼしきベテランファンの会話が聞こえてきた。

70代「先輩、来年から川崎でミッドナイト競輪っていうのをやるの知ってますか?」

80代「何だい、それは?」

70代「夜の9時から始まるんですよ。で、我々お客は入れない」

80代「どういうことだい? 川崎はスタンドを新しくしたばかりじゃないの」

70代「インターネットで車券を買うんですよ。先輩、インターネットってできますか?」

80代「そんな難しいものできる訳ないよ」

70代「そうだよね。老人のことも考えてほしいもんだね」

会話そのものは面白かったが、内容は少々考えさせられるものだった。

来年から南関地区でも川崎、松戸、伊東でミッドナイト競輪が始まる。1~3月は各場2回ずつの開催ですべてがミッドになるわけではないが、ベテランファンの楽しみが減ることは確か。あちらを立てれば、こちらが立たず。考えれば考えるほど悩ましい。

【栗田文人】