ホーム側のメインスタンドから望むいわき平バンク。バック側にいわき市の夜景が映る
ホーム側のメインスタンドから望むいわき平バンク。バック側にいわき市の夜景が映る

日刊スポーツ杯を懸けた、いわき平F1ナイターが16日に最終日を迎える。メインはS級とA級決勝だ。いわき平バンクの今年最終戦は、寒さを吹き飛ばすような熱戦になるのは必至で注目したい。

S級決勝11Rの主役は新山響平(25=青森)。初日特選は果敢に逃げたが、気温3度の寒さが堪えたか、ゴール前で失速し2着に惜敗した。だがそこは修正力を身につけた北日本の次世代エース。簡単にずるずると負けるわけにはいかない。気温1度と寒さが強まった準決11Rは7番手から一気まくりで通算100勝を達成した。「次の目標は200勝。その前に決勝で101勝目を」とV宣言した。その走りをしっかりみとどけたい。

デビュー4年目で通算100勝を達成した新山響平。決勝11Rは101勝目を懸けてダッシュする
デビュー4年目で通算100勝を達成した新山響平。決勝11Rは101勝目を懸けてダッシュする

A級決勝10Rは、藤根俊貴(23=岩手)と森田優弥(20=埼玉)の113期の同期対決が最大の見どころ。卒業記念覇者という“金看板”を背負う藤根は、2班特昇後に3場所連続Vとノリノリ。一方、森田は今月頭のレインボーカップ・チャレンジファイナルで2着になり、今節が特昇後初の1、2班戦だ。

藤根は競輪学校に冬季移動し、新山響平や守沢太志らと乗り込み、先を見据えたトレーニングをしている。森田に対して「決勝も内容は大事。もちろん、あいつはつぶす」と、少々荒っぽい言葉をぶつけた。

森田は「9車立ては、後方になると前が遠い。そうならないよう、しっかり組み立てる」。先行策で藤根の4連続Vを阻止する構え。ふだんの2人はじゃれ合っているような仲でも、勝負はガチ。こん身の力比べを繰り広げる。

A級決勝10Rで113期対決に挑む藤根俊貴(左)と森田優弥
A級決勝10Rで113期対決に挑む藤根俊貴(左)と森田優弥

もうひとり注目しているのが小磯伸一(58=福島)だ。昨年から成績が低迷して今年限りで引退することになった。今回は誘導員に名を連ねている。83年の競輪祭で新人王となり、全盛期は先行とまくりでG1決勝に4度進出した実績がある。地元のいわき平を走るのは誘導員を務めるA級特選5Rが最後。「年末の大宮(28~30日)が最後のレースです。一番の思い出は坂本勉の先行を差した地元記念の優勝(91年12月)。あの時は中野浩一さんにも先着した。うれしかったな。今は体が動かない。去年の2月に街道練習で転んでから首が痛くて力が入らない。後輩にはケガに気を付けて頑張れと言いたい」。少し無念をにじませながら、37年9カ月の選手生活に別れを告げようとしている。【野島成浩】

小磯伸一(右)が準決6Rの誘導に備えてアップする
小磯伸一(右)が準決6Rの誘導に備えてアップする