【ヤマコウの時は来た!】

 初日、外国人選手の走りに注目していたが、圧巻だったのはパーキンス。まくって快勝だったが、真剣に踏んだのは、2角の10メートルくらいだったと思う。日本のトップクラスの選手との対戦が楽しみだ。

 さて、優秀からは伏見俊昭をピックアップする。彼も2回の五輪を経験し、アテネではチームスプリントで銀メダル。今年のリオ五輪、陸上400メートルリレーの銀メダルクラスの衝撃であった。正直、持って生まれた体格は外国選手にはかなわない。そこをチーム力で補おうという日本人の長所を生かした銀メダルだった。

 1回目の五輪で、そのような成績で終わると、2回目は欲が出る。「北京五輪が人生で一番緊張しました。あれに比べたら、グランプリや地元のG1のプレッシャーなんて比じゃない。日の丸を背負うということは、ほんと大変なんです」。国民や関係者、そしてファンの期待を背負うプレッシャー。それを彼は肥やしにしてきた。その当時の伏見と対戦すると、私は「この開催は終わったな」と思ったものだ。

 40歳になった伏見は今、過去の自分を求めて懸命に戦っている。同じ国際舞台を経験している渡辺一成のことを「自分と同乗する時はいいレースをしてくれる。それに応える走りをしたい」と言う。

 今のスランプは、過去のものとは少し違う。年齢とも闘わなければならないからだ。この開催が、いいきっかけになることを願っている。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)