【ヤマコウの時は来た!】

 ◆12R 準決が終わって、外国人選手の強さをまざまざと感じた。この強敵をどう攻略するか。日本人の強さはまとまって走ること。これがかなわないなら、各地区のラインの力で太刀打ちするしかない。期待したいのが地元の岩津裕介だ。

 昨日も書いたが、2予の1着インタビューでホッとした表情が、胸の内を見ているようで心苦しかった。オールスター競輪を優勝して挑んだ今回の玉野G3。インタビューの感想を伝えると「知らない間に緊張していたのですね」と答えた顔が一瞬ほころんだ。

 層が薄い中四国の選手なので、同地区でラインを組む機会があると、自分のことよりも、地区を優先したレースを心掛けている。その結果がG1初優勝だった。準決は稲垣裕之を差せなかったが、決勝は差した。その決勝、稲垣を差しにいく時、普段から締めて抜きに行くから、後ろにいた中村浩士の行き場がなくなり、岩津のお尻に押す格好になって接触した。積み重ねが接触を生んだのだと思う。それも彼の実力だ。

 今、中国の中心選手として、若手にも積極的に指導している姿が目立つ。それが、取鳥雄吾らの活躍につながっている。「自分が新田祐大や深谷知広になれるとは思ってないので」と、G1優勝後に話していたが、その代わり岩津にしかないものもあると思う。

 外国勢に好きにさせないと誰もが思っているだろう。(原田)研太朗が力勝負で挑むと岩津にもチャンスが巡ってくる。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)